あきれた紳士の国イギリス

イギリスは、今年の1月31日をもってEU(欧州連合)を離脱した。これはヨーロッパの汎用化に反対したイギリスが国民投票を通じて離脱したのだが、経緯や核心については複雑なため、ここでは割愛する。

イギリスというとイメージとして「紳士の国」が強いのだが、実際にそうなのだろうか、ちょ写真が2011年から2016年までの5年間イギリスに在住して体感したことを綴りながら「紳士の国」の像に疑問を呈している。

第1章「「紳士の国」は本当か」
著者はジャーナリストだが、イギリスでは「専業主夫」として5年間の生活を送ったという。実際に送ってみると元々「紳士の国」という固定観念が大きく崩壊するものだった。本章にも言及しているのだが、「紳士の国」のイメージは明治時代におけるイメージがそのまま現在にも語り継がれてきているだけであり、実際は紳士というよりも、どちらかというと音楽で言う所のロックやパンクと言ったものだという。

第2章「シャイな人たちとのおつきあい」
イギリスの国民は気品があるように思われているのだが、実際はシャイであるのだが、あることパンクになったり、ワイルドになったりするのだという。実際に著者自身がイギリス人と関わっていく中を綴っているのだが、実際のイギリス人は内向的なのか外交的なのか、私も分からなくなってしまった。

第3章「子供を現地校に通わせてみた」
専業主夫とあり、妻子がいる。そのうち子供はまだ学校に通って教育を受ける時代であるため、現地の学校に通う必要があった。では実際に通わせるとどうなったのか、本屋でイギリスの教育法に関する本がいくつかあるのだが、それらの本以上の「生の声」が詰まっている、というよりも「生々しい声」というべきか。

第4章「それでもイギリスはおいしい?」
イギリスにおける「食」の事情を取り上げているのだが、実際の食の在り方と言うよりも、買い物から料理、さらには自身で食してみるまでのことを、「実際にやってみた」と言う形での体験談を取り上げている。台所もそうだが、スーパーにはどのような食材があるのか、重宝したスーパーはどこか、食材をもとにどのような料理を作ったかもある。

第5章「住まいが私を苦しめる」
住まいが「苦しめる」というタイトルを見てイメージがわかなかったが、実際の住まいの状況や、家事中に大惨事になりかけたエピソードを見るとまさに「苦しめる」エピソードが沢山詰まっているという他ない。

本書は決してイギリスをけなしているわけではない。著者自身が実際に5年間イギリスに住んでの体験談を「ありのまま」に綴っている。しかしながらイギリスの良いイメージ・悪いイメージともに根底から覆すには本書だけで事足りる。もっともイギリスそのものの実状が全て本書に詰まっており、これほどまでイギリスの「今」を知ることができた本は他になかった。と同時にそれを痛快に知ることが出来る点で至高の一冊であった。