セヘルが見なかった夜明け

本書の著者の経歴を見るだけでも一つの物語がつくれそうなのだが、その著者は描く物語は何とも繊細であり、なおかつ短編集でありながら、短編1編の中に大きな風呂敷を広げるほどダイナミックな表現に富んでいる。

ちなみに現在は作家の面でも輝いているのだが、元々は政治家・法律家であり、トルコ政府と武装組織との和解訳を務めるほどの人物である。大統領選にも2回出馬した。ちなみにトルコの大統領選ができたのは2014年であり、過去に2回だけ行われた。その2回に出馬し、特に2回目は全候補者の中で3番目の得票数を得た。しかしその2回目の選挙目にはテロ教唆や支援の疑いで逮捕され、現在もなお拘留中であるという。その獄中の中で描いたのが本書である。

著者の人生と、トルコの情勢、さらには価値観などが入り交じっており、日本ではなかなか感じられないような物語が沢山詰まった短編集だった。

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