【S支局発】スクープ

本書の帯に「自伝的小説」と標榜している。経歴にはほとんど記されていなかったのだが、著者は新聞記者であり、週末は作家に勤しんでいる。仕事の立場上はどこの新聞社は描かれていない。

ちなみに本書はとある中高一貫校における運動会における組体操の事故を取り上げている。自ら記者として真実を追っていたこともあり、真実を追う姿と、学校側の隠蔽を行う姿がありありと映し出される。実際に組体操の事故は報道されたこともあり、それに関して学校側が隠蔽を行おうとする姿に批判や非難の声を挙げるといったこともあった。

元々メディアとなると批判的な一冊が多くなってしまう傾向にあるのだが、批判をしてしまうのは新聞記者というよりも、新聞社そのもの、あるいは記者クラブへの批判が集まることが多い。記者やジャーナリストの中には真実を追って、なおかつ分別をつけて取材・報道を行う方もいる。私たちはその真実を追う姿と情報を大切にしながら分別を行いたいものである。