「教育」の考え方は変わっていくのだが、その変化の有りようは、今日の社会情勢をもとに反映される事例も少なくない。特にグローバル化が進んでおり、教育についても「異文化」の考えを取り入れるようなことも少なくない。
しかしながら、異文化との教育のあり方には根強い課題と論争が存在する。本書はパリ第8大学教授の観点から、学校における異文化間の教育の実践と、論理、さらには論争などを分析しつつ、これからの異文化間教育をどうしたら良いかを取り上げている。
第一部「課題と論争」
教育によっては国語や歴史など、国や民族に関してのことを学ぶ機会であることも少なくなく、思想を醸成する場所でもあるのも教育の一つである。と同時に「教養」を身につける場でもある。特に異文化間教育では、異なる文化・思想の中で一緒に学ぶ機会を得る一方で、異なる「文化」「言語」「価値観」「思想」だからでこその疑問や限界などの議論もある。
第二部「異文化間教育」
大学によっては「交換留学」や「学校間交流」などの地域内外、さらには国内外の交流も盛んになっている所もある。では著者が教鞭を執ったパリ第8大学ではどうだったのだろうか、自らの大学の事例をもとにして取り上げている。
第二部でも書いたように大学によっては、異文化間教育が盛んに行われているところもあるが、一方で、文化や価値観などでの衝突による課題も残っている。しかしながら、その課題は教育的な観点で解決することは難しく、むしろ人と人の理解によって初めてできるものではとも考えてしまう。
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