本書は短編集であるのだが、韓国の日常を描いているのもあれば、人間的な悲しみやむなしさ、さらには生きている世界の残酷さを描いている。
母国でもある韓国の事情はもちろんのこと、著者自身イランを旅したなかで得てきたこともまた、短編集の中に収録されている。
叙情的でありつつ、寂寥感と言う言葉が似合うような物語が多くある。日本でも「諸行無常の響きあり」という平家物語で有名なフレーズがあるのだが、その「諸行無常」の言葉を様々なシチュエーションにて描かれていた。韓国文学はあまり触れたことがなく、なおかつ日本の書店でもあまり出回ることが少ない。しかしその中でも日本にはない寂寥感には本書にはあり、なおかつ異国を舞台にしている所の中でも日本の短編集のそれとは異なる面白味もある。
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