「クラウドファンディング」はもはや色々な所で使われている。概念自体は2000年代に生まれてきたのだが、2010年代になってから拡大し、もはや当たり前の存在にまでなっている。なぜクラウドファンディングが盛り上がっているのか、またそこから創られる社会とは何かについて取り上げているのが本書である。
第1章「1億円達成!――タッグを組んだ「抱樸」と「READYFOR」」
本章では「認定NPO法人抱樸-ほうぼく」における「家や仕事を失う人をひとりにしない支援」をクラウドファンディングサイトの一つである「READYFOR」にて実施した記録を取り上げている。目標金額1億円の大きなものだが、支援者は10,289人、金額も目標金額1億円を超える115,798,000円が集まった。本章ではそのプロセスを綴っている。
第2章「クラウドファンディング概説」
実は「クラウドファンディング」とひとえに言っても色々なものがあり、前章の活動はいわゆる「寄付型」と呼ばれるものである。よくあるクラウドファンディングだとこの寄付型であることが多く、スタンダードなイメージだが、他にも存在する。
新しい商品の紹介と称してクラウドファンディングを行う「購入型」、さらに実質的に投資を行い、利息の一部を見返りとして得られる「融資型」もある。
もっと言うとクラウドファンディングのサイトにも色々とあり、本書で取り上げている「READYFOR」を始め、いくつかのプラットフォームも存在する。
第3章「READYFORのCEO・米良はるかさん」
本書で取り上げる人物はこのREADYFORの運営会社である「READYFOR株式会社」の創業者であり、代表取締役CEOをつとめている米良はるか氏のインタビューを取り上げている。
第4章「目標金額を達成するためのセオリー」
もちろんクラウドファンディングをただ行うだけでは寄付はそれほど集まらない。目標金額を達成するためには「セオリー」が必要であるという。ではどのようなセオリーが必要なのか、そのことについて取り上げている。
第5章「躍動する新たな取り組み」
READYFORは寄付型であり、社会貢献型のクラウドファンディング・プラットフォームだが、コロナ禍が契機となり、新たなクラウドファンディングをつくるようになった。それが「基金型」のクラウドファンディングである。その「基金型」とはいったい何か、また設立のためにどのような活動を行ってきたのかを記している。
第6章「クラウドファンディングによる草の根民主主義――チャンス・フォー・チルドレンの挑戦」
クラウドファンディングはまさに「草の根」の中で寄付を募り、目標金額に達成したり、しなかったりすることがあるのだが、多くは語られている目的の活動の資金に充てられている。社会問題の中でより良い環境にするため、またとある実験や開発を行うためと様々である。
第7章「企業とクラウドファンディング」
クラウドファンディングはNPO法人や団体などが多いイメージだが、実は企業でも行っている所も少なくない。本章ではロート製薬や中部電力、また現在別の所で話題の大鵬薬品の事例を紹介している。
第8章「寄付教育」
もっともクラウドファンディングはヨーロッパなどの地域から伝来したものである。では日本には「寄付」文化はあるのかどうかというと、あるのだがあまり根付いていないのが現状だった。本章ではクラウドファンディングを中心にいかに「寄付」の文化を浸透していくかの動きを紹介している。
第9章「人はなぜ寄付するのか?」
そもそもなぜ人は寄付をするのか、富裕層の中には節税対策として行う人も少なくない。しかしながら根本的な所として「助け合い」といったものが根底としてある。
今となってはいくつものクラウドファンディング・プラットフォームが存在しており、多くの寄付を得られている方々・団体も存在している。中にはクラウドファンディングをHPやテレビなどを通して呼びかける所も少なくない。クラウドファンディングはもはや私たちの日常の中に存在しており、あまり根付かなかった「寄付」の文化を育ませている。
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