電通現役戦略プランナーの ヒットをつくる「調べ方」の教科書 あなたの商品がもっと売れるマーケティングリサーチ術

よく「マーケティングリサーチ」と言う言葉を聞く。本格的に行ったわけではないのだが、他の会社との比較などを行うなどの仕事を行っていたこともあったため、「片足を突っ込んでいた」と言う言葉が適当か。しかし「マーケティングリサーチ」と呼ばれるものは、モノ・サービスを販売を行う際の戦略を構築していく上で必要なものであり、なおかつやり方を間違えてしまうと後で取り返しのつかないことにもなりかねない。

そこで本書である。本書は戦略プランナーの観点でどのように「リサーチ」を行っていったら良いかについて知ることのできる一冊である。

第1章「売れない商品は「ターゲット」「セールスポイント」がズレている」

商品の売れる・売れないの境界線はどのような所か、もちろん流行に乗っているかどうか、流行をつくっているかどうかと言うのもあるのかもしれない。しかし実際は「マーケティングリサーチ」を行う中で、ターゲットやセールスポイントなどが合っているかどうかが肝心になるが、それが多かれ少なかれ「ズレている」という。そのためリサーチを単純に行うのではなく、むしろ「精度を高める」ことが必要である。

第2章「「ターゲット」「セールスポイント」を絞り込む3つのステップ」

このリサーチを行う中で「ターゲット」をどうするか、あるいはそのターゲットに向けてどのように「セールスポイント」を見つけていくか、と言う所にもかかっている。

第3章「【リサーチの実践1】 アイデアを形にして検証するリサーチ」

商品やサービスを生み出すために、求められる要素の一つとして「アイデア」がある。ブレインストーミング(ブレスト)を始め、様々なアイデア創出の手法で生み出したものを、形にしていくために、アイデアが実際の市場にて通用するのか、検証を行っていく必要がある。そのリサーチの手法として商品開発や戦略などのリサーチを挙げている。

第4章「【リサーチの実践2】 ヒットをつくる「市場分析」」

さらにその形にしたものを市場にてどのような影響を及ぼすのかを分析する「市場分析」を行っていく必要がある。もちろん市場への影響の他に、現在の市場がどのようになっていくのか、官公庁や業界団体の資料をもとにして調べたり、あるいは調査会社などを使ったりすることもある。

第5章「【リサーチの実践3】 ヒットをつくる「顧客分析」」

次の分析は「顧客」である。いわゆる「ターゲット」をどうするかであり、年齢層はもちろんのこと、志向など求められる要素も沢山ある。しかし一つだけを求めるだけでなく、「メイン」「サブ」といったように複数にわけるといった所もまた必要になってくる。

しかもその「ターゲット」を求めるなかでもどのような人物像がどのように使ってもらいたいかなども求められるため、単純に年齢層だけを求めるばかりの話でもない。サーチの方法なども含めてこの顧客分析が最も力を入れなければならない、と言うことを物語っているほど、本章は緻密に取り上げている。

第6章「【リサーチの実践4】 ヒットをつくる「競合分析」」

次は競合他社の分析である。同じような商品をつくり、販売している企業はいくつも存在している。商品・業種などの「カテゴリー」内でどのような分析を求めていくか、なおかつ競合の中でポジションをどこに置くべきか、などが求められる。

第7章「【リサーチの実践5】 ヒットをつくる「自社分析」」

「己を知り敵を知れば百戦危うからず」という故事成語がある。これは孫子の言葉からきており、敵・味方の情勢を知れば戦いのなかで負けないと言う意味である。「敵を知る」は前章の「競合分析」で取り上げているため、本章では「味方を知る」部分に当たる。その味方を知るにあたって、自分の会社はどの立ち位置にいて、どのような状態にあるのかなどを分析するためのメソッドを明かしている。

第8章「【リサーチの実践6】 売り続けるためのリサーチ」

商品やサービスを販売するのは期間限定のものもあるが、たいがいはずっと売り続けることにある。そのためそれらを「売れ続ける」ためにどうしたら良いか、うまく行かなかったら修正する、うまくいったらもっと売れ続けるために、どうしたら良いかサーチを行う必要がある。その方法を示している。

第9章「リサーチにつまずいたら読む章」

しかしリサーチは確実にうまく行くわけではない。行っていく中でつまずくことも往々にしてある。つまずいたときや失敗したときのリカバリーの方法について実例を持って示しているのが本章である。

「マーケティングリサーチ」と言う言葉をよく聞くのだが、具体的にどのようにしてリサーチを行えばよいかわからない方も多くいる。かくいう私もその一人である。しかし実際に「リサーチ」といっても多岐にわたっており、なおかつ精度を高める必要があるものばかりである。

リサーチと言っても単純に探せば良いというのではなく、売れるために、売れ続けるためには何が求められるのか、そのヒントを探る、ターゲットを探す、セールスポイントを探すために行っていくための重要な「手がかり」であり、そのメソッドが網羅されている。本書は辞書に匹敵するぐらいのボリュームだが、実際リサーチを実践していく上で、手法や戦略を学ぶためのバイブルと考えた方が良い一冊である。