ゴールデンタイムの消費期限

「ゴールデンタイム」と言うと、テレビの世界では夕方から夜にかけての時間帯で、最も視聴率の取れる時間帯のことを指す。しかしそれに派生してかどうかはわからないのだが、自身の「全盛期」と呼ばれる時期も「ゴールデンタイム」と指すケースもある。

本書はその「全盛期」と、その紀元に悩むある元天才小説家の姿を描いている。人間の才能を描いているのだが、実はAIによっての再教育と呼ばれる身の毛がよだつようなプロジェクトにて、人間の「リサイクル計画」を描いている。もっとも才能はずっと続くようなものではない。何年、何十年と経つと、自身の才能が衰え、世代交代が行われる。その世代交代の流れを否定するかのような物語である。

しかし自身の才能に目覚め、そこから「やれる」ようになった。やがて思い通りにならなくなったとき、衰えを感じるも、それでも「まだやれる」という思いを持ってしまうこともある。そう考えると本書は、「チャレンジ」と「引き際」とは何かと言うことを考えさせられる一冊であった。