MONTH

2022年5月

未来からの脱出

周囲が「楽園」と呼ばれている場所でも、捉える人によってはそれが「地獄」と考えることもある。また楽園でも脱出不可能となると、それは「監獄」とも呼ばれる。 本書はとある施設であるが、平穏な日々を送っていた。しかしながらあるメッセージによって脱出ゲームが始まる。そもそも平穏な日々を送っているのだが、どうやってその施設に入られたのか、またその施設はいったい何かも含めて「謎」だった。よくある「井の中の蛙」と […]

リヒトホーフェン―撃墜王とその一族

ミリタリーのマニアの中には本書のタイトルにある「リヒトホーフェン」という人物をご存じの方もいるのかもしれない。サブタイトルにもあるようにドイツ帝国の軍人で、とりわけ航空隊での武功が最も有名である。特にアニメキャラのモデルにもなるのだが、それは後述する。本書はその撃墜王と呼ばれたマンフレート・フォン・リヒトホーフェンとその家族を取り上げている。 第1章「撃墜王―マンフレート」 マンフレート・フォン・ […]

法廷遊戯

本書は法科大学院(ロースクール)に通う3人の学生が中心となっているのだが、法律を勉強する中で法曹の道へと進んでいく。しかし学生の告発をした差出人不明の手紙が届いた所から物語が始まる。 この手紙が起因となって不可解な事件が立て続けに起こる。3人の学生はその真相を究明すべく法律をもとに、解き明かしていこうとするのだが、様々な分岐が起こる。さしずめ裁判を行っているかのようなものだった。 事件と法律は密接 […]

池上彰の行動経済学入門

これまで「行動経済学」はいくつか取り上げたことがある。もっとも経済学の中では身近なものであり、なおかつビジネスの場でも使われているからである。しかし使われているからと言って「行動経済学」とはどのような学問なのかわからない人も多くいる。 そこで本書である。本書はテレビでもおなじみのジャーナリストの池上彰氏が、行動経済学とは何か、また行動経済学の中で有名な理論について噛み砕いて取り上げている。 第1章 […]

東京のぼる坂くだる坂

コロナ禍でしばらく東京に行かないことが続いている。そのため東京は今どうなっているのかどうかもわからないこと・場所も多い。もしコロナが終息して行き来がしやすくなれば、少しばかり東京に行ってみようかなとは思っている。 その東京の体験の中でけっこう思い出に残っている場所が「坂」が多い所と、坂によっては山登りと感じてしまうほどの激坂もある。 本書は引っ越し好きの父が、転々とした場所を探す旅を描いている。し […]

創造力を民主化する―たった1つのフレームワークと3つの思考法

本書はあくまで想像力ではなく「創造力」である。これは仕事の上で「クリエイティブ」な事を行い、新しいコンテンツや考え方を編み出すといったものであるのだが、特にこういった要素は一部のイノベーターやクリエイターの専売特許のように思えるのだが、実際の所は、多くの業種にて細々とした仕事を行う際に「創造」を行っている。 しかしながらその力を持つことができるのは限られるという意見もあるのだが、著者に言わせると後 […]

密やかな結晶 新装版

人生における様々な経験や成果はある種「結晶」のようなものである。結晶となると美しさや輝きを放つのだが、それは経験や出来事の遭遇などによって決まってくる。もちろん日常のことからも結晶が生まれ、輝いていく。 本書はとある島を舞台にしているのだが、その島は多くのものが消滅していき、人も心もどんどんと失っていくような状態に陥った。さらに本書の主人公は小説家であったのだが、その小説を描くことでさえも失ってし […]

妻はサバイバー

そもそも「サバイバー(Survivor)」とは、 生き残った人。生存者。「大辞林 第四版」より と表している。しかし、「サバイバー」と言う言葉は「がんサバイバー」のように、がんなどの病気の治療中、あるいは治療後のリハビリを通して逆境に抗い続ける人のことも指している。そのためか様々な病気や出来事における「サバイバー」もできはじめた。 さて本書である。本書の著者は現役の朝日新聞記者であるが、著者の妻が […]

身分帳

元々本書は1990年に刊行され、1993年に文庫化された。初めて刊行されてから30年後の2020年に本書を原案とした「すばらしき世界」にて映画化されたものである。 そもそも「身分帳」は実際に存在しており、拘置所に入所した人(容疑者・被告人など)の態度や経歴などが記載されている書類のことを表している。問題を起こしたり、面会を行ったりと、事細かに記されている。しかしどれだけ細かく書かれるかは拘置所のあ […]

ヤングケアラーってなんだろう

「ヤングケアラー」と言う言葉を初めて聞くが、 法令上の定義はありませんが、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもとされています。厚生労働省「ヤングケアラーについて」より とある。特に介護などのケアはヘルパーなどで行うことを親族、それも子どもたちに行うことである。あたかも「美談」としてとらえがちだが、じつはヘルパー不足といった問題もあれば、学校生活への悪 […]