本書はあくまで想像力ではなく「創造力」である。これは仕事の上で「クリエイティブ」な事を行い、新しいコンテンツや考え方を編み出すといったものであるのだが、特にこういった要素は一部のイノベーターやクリエイターの専売特許のように思えるのだが、実際の所は、多くの業種にて細々とした仕事を行う際に「創造」を行っている。
しかしながらその力を持つことができるのは限られるという意見もあるのだが、著者に言わせると後天的に身につけることができ、なおかつ思考法やフレームワークを持つことによって成り立つのだという。その方法とは一体どのようなものかを伝授している。
第1章「1つのフレームワーク」
本書において「創造力」を限られた人にでなく、多くの人が身につけられる。その意味でタイトルに「民主化」と銘打っている。また方法としての根幹として本章で紹介する「1つのフレームワーク」と次章以降で紹介する「3つの思考法」を紹介している。
本書の根幹となる「フレームワーク」は簡単に言うと「課題」と「解決方法」に分解するものである。特に課題はよくある「5W1H」といったものを用いられるのだが、その使い方にも本書ならではの方法があり、具体的に記している。
第2章「3つの思考法1統合思考」
特に第1章をベースにして、解決方法を見いだすための思考法を本章から紹介している。一つ目が「統合思考」である。これは何かというと、
トレードオフの課題をはじめ、さまざまな課題を解決しようとする考え方です。p.55より
とある。ビジネス書にも出てくる「インテグレーティブ・シンキング」そのものである。
第3章「3つの思考法2アナロジー思考」
次に「アナロジー思考」であるが、簡単に言うと「類推思考」であり、他の物事を結びつけて新しい発想する、つくる思考法のことを指している。本書ではあくまで課題に対して解決に結びつけるための思考の一つとして「アナロジー思考」がある。そのためどのように使うべきかを紐解いている。
第4章「3つの思考法3転換思考」
最後に出てくる思考法が「転換思考」である。これは、
先入観や思い込み、常識を捨てて、新しい枠組みで物事を捉える考え方です。もう少し噛み砕くと、常識を真逆にひっくり返したり、ずらしたりして物事を捉える考え方です。p.237より
とある。思考をするとなると、どうしても先入観や常識などの固定観念を持ってしまう。しかしそれをいかにして捨て去るかが、転換思考を発揮するための要素と言える。経験や学びを通して思考や価値観を築いていくため、なかなか捨て去ることは難しい。そのためどのように「転換」を行っていくか、その方法を詳しく伝授している。
第5章「創造的に考える技術のまとめ」
本章では「まとめ」としてこれまで取り上げたフレームワークと思考法をいかにして使っていくべきかを事例を含めて取り上げている。
「創造」することは限られた人の専売特許ではない。誰にでもできることである。しかしどうやって行うべきなのかと言うことがわからない方も多い。そのためのフレームワークや思考法が本書にある。もちろん思考法の中にはありふれた思考法もあるのだが、組み合わせていくことなどにより、思いも寄らぬ解決方法が誕生することもある。今ある課題に対してどのように考え、創り出すかを本書をもとにして実践していくのが良い。