神様には負けられない

本書は義肢装具士の世界を描いているが、もっと言うとその専門学校の実習にて奮闘する学生の姿を描いている。ここ最近では義足や義手など「義肢装具」のバリエーションは充実しており、今年・昨年と行われたパラリンピックでは、様々な競技用の義肢装具があることがよくわかる。

しかしその装具はそれぞれの体型や用途などにあったものをつくる、あるいは装着しなければならず、説明なども求められることが多い。しかも義肢装具士の世界はあまり知られておらず、なおかつ求められることも多くあるため、どうしても「ブラック」になりがちになる。

とはいえ奮闘していく中で、義肢装具を求められる方々に対して「神様」にたとえ、負けられないといったある種の「抵抗」も垣間見えており、なおかつ義肢装具ならではの世界を知りつつ、真の「バリアフリー」とは何かについて考えさせられる一冊であった。