歴史秘話 外務省研修所 知られざる歩みと実態

「年度」として捉えるのであれば、2022年度も折り返し地点にあたる。特に新人になってくると、新人研修を終えて、先輩とのOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の真っ最中であることが多い。そのためか仕事を覚えることが多く、右往左往している人も多いことだろう。

その「研修」自体は企業の専売特許と言うわけでは無く、中央省庁でも、省庁の職員、いわゆる官僚たちもまた研修を行い、仕事をドンドンと覚えていく。その中で本書は外務省における「研修」として、「外務省研修所」がある。著者も外務省に入省して官僚として働いており、入省時は研修所で学んだのだが、その当時は丸ノ内線の茗荷谷駅の近くにあった。現在は神奈川県相模原市相模大野にある。外務省研修所がいかにしてでき、なおかつどのような研修を行っているのかを解き明かしているのが本書である。

第1章「外務省の誕生と外交官の育成」

本章では明治時代における「外務省」の誕生の時からを取り上げている。もっとも本書の研修所がつくられる「前」のことを表しており、その時はどのようにして外交官を育成していったのか、そして採用を行っていたかが中心となる。

第2章「外交の「勘」を養うために――外務省研修所の設立」

外務省研修所がどのような設立されたのは1946年、大東亜戦争が終わって間もない時に、冒頭にも述べた東京の茗荷谷駅の近くに設立された。現在の相模大野に移されたのは1994年で、さらに、外務省の中にも1995年にも「分室」という形でつくられた。

もっともこの「研修所」がつくられたのも、大東亜戦争、もとい戦前における外交の「反省」によるものだった。

第3章「外交官の資質――研修で何を学ぶのか」

外交官の仕事は国際関係の構築における国益の部分を担っている。そのため研修においても外交上の「美徳」における「7つの要件」を基にし、外国語をはじめ、実務はもちろん、心構えにまつわるものなど多岐にわたる。また新人ばかりでは無く、年数ごと、あるいは赴任や昇進などにより、さらなる研修も用意されている。

第4章「国内外の公務員研修所」

外交官の研修所は日本のみならず、世界各地に存在する。また外務省のみならず、防衛や警察に関しての研修機関として「大学校」も本章にて紹介されている。

昨今では国際事情が日々刻々と変化しており、日本の立ち位置をどうすべきか定まっていないような状況にある。その中で政治はもちろんのこと、「外交」は非常に重要な立ち位置に置かれている。その根幹をなすのが外交官であるが、外交官の育成がどのような所・内容なのかが本書にてよくわかる。

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