スポーツ観戦空間論 スタジアム/アリーナ 歓びの場所の過去・現在・未来

まだまだ回復途上にはあるのだが、コロナ禍におけるスポーツ観戦が自粛から解放され始め、有観客となり、スポーツによってであるが、声出し応援もできるようになってきた(一部のプロレスやサッカーに限り、その場合も制限がある)。私自身はスタジアムでスポーツ観戦は行ったことが無いのだが、特にスタジアムで試合を行う選手たち、観客たちともに、「ようやく」元に戻りつつある時を享受しているという感覚もある。

そもそもスタジアムのつくりはもちろんのこと、なぜスタジアムやアリーナなどの「空間」によってスポーツの「空気」がつくられていくのか。またそれらを設立する際の政治・経済の利点、日本における整備とこれからについて論じているのが本書である。

Ⅰ.「スタジアム・デザインと観客」

元々「スタジアム」としてのデザインは紀元前の頃からあった。古代ローマ時代における「コロッセオ」やオリンポス時代にも「古代競技場」として円形の闘技場があった。それをモチーフに野球やサッカー、ラグビーなど円形のスタジアムがつくられ、第二次世界大戦後になると、雨でも利用できるように屋根のつけた「全天候型」のスタジアムもできた。さらには屋根を自由に動かせたり、さらにはサッカー場から野球場へと自動的に変化していくようなスタジアムまで次々とできた。

Ⅱ.「スタジアム/アリーナ設計と政策のケーススタディ」

特にスタジアムとなると、市区町村、さらには都道府県など、「地域」に根ざしたスタジアムもつくられた。日本でもいくつかあるのだが、本章ではアメリカのMLB、オーストリアやドイツにおけるサッカースタジアムなどの設計と、地域に根ざした政策についてのモデルケースを取り上げている。

Ⅲ.「日本におけるスポーツ観戦環境の整備」

では日本ではスポーツ観戦における「スタジアム」「ドーム」「アリーナ」などの整備はどうなっているのか。本章では千葉・広島などを引き合いに出しつつ、なおかつバブル崩壊以後の社会背景における建設や整備を取り上げている。

Ⅳ.「モダン~ポストモダン~未来」

アリーナやスタジアムにおける機能や意味は社会においてどのような意味合いをもたらしているのか。社会の変遷における「モダン」「ポストモダン」、そして「未来」における「空間」においてアリーナやスタジアムの立ち位置はどうなるのか、そのことについて取り上げている。

日本には至る所にドームやスタジアム、アリーナなどがある。それぞれに根ざしているスポーツもある。また場所によっては地域一帯でつくられたところもある。コロナ禍が過ぎ去り、アフターコロナの時代においてどのような立ち位置になるのか、誰にもわからないかもしれないが、古代からあった闘技場や競技場のような「熱狂」の空間は形は変われど、空間にある雰囲気は変わることはない。

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