あなたにオススメの

本書のタイトルはけっこうどこにでもあるような感じがしてならない。かつてはAmazonにて本を選ぶと、購入や閲覧履歴から「あなたへのおすすめ」として列挙されてくるのだが、ここ最近では買い物を行うためのサイト、さらには動画に至るまで「おすすめ」として紹介される傾向が強くある。もちろん迷惑になることもしばしばあるのだが、傾向を知ってか知らないでか、ついついおすすめのものを選んでしまうことが多い。

私事はさておき、「おすすめ」となってくると、その傾向の「沼」にどっぷりと浸かるきっかけともいえる。その「沼」こそ「依存症」への入口として本書にて物語となっている。しかも近未来であり、依存症になった先に見えた世界は「ディストピア」だったという恐ろしいもの。日常が「非日常」になるなど、混沌の展開でありつつ、リアリティの要素も残しているなど、色々な意味で飽きさせない一冊であった。