プレカリアート

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プレカリアート―デジタル日雇い世代の不安な生き方 (新書y) プレカリアート―デジタル日雇い世代の不安な生き方 (新書y)
雨宮 処凛

洋泉社  2007-10
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「プレカリアート」というのは日本全体にとって深刻な問題としてとらえなければならないことである。団塊の世代がリタイアして、これからの日本の経済を担うのは我々の世代となる。当然上の世代を養う立場にもなる。その世代が今貧困問題に直面している。さらにもっと言うと若者世代の消費の硬直化も問題視されているが、私はこれは当然のことだと思う。後期高齢者医療制度は廃止論の声が強まり舛添厚労相も廃止を示唆しているほどである。民主党はいち早く廃止論の動きを見せていたが、廃止してから後期高齢者の方々への医療費の財源をどうするのかというところがほとんどなかった。いったいどこから財源をもってくるのだろうかというところが疑わしい。
本題に戻す。本書は「プレカリアート」という不安定な生活を強いられている非正規雇用者にスポットを当てている。著者自身もその運動のカリスマ的存在であり多くの番組や論壇でその現状を訴えている。私もこの問題については改善策について最も策し、政府に対して訴える所存である(私の力だけでどうなるようなものではないのだが)。
第1章はプレカリアートが急激に増えた要因であるが、私は一つには「失われた十年」との因果関係が強いという考えをもっている。というのは企業倒産や大規模なリストラ、そして就職超氷河期時代と言った正社員から外れてしまった人が出てきてしまったのではと推測する。本書もそれに似たような主張があり、その証拠としてバブル崩壊ごろからフリーターの人口が右肩上がりとなった。ちなみにもっと言うと「失われた十年」から脱した今でも増え続けているが、それについて否定的な論者もいる(第4章で言う「自己責任論」を唱えている人達である)。その理由は「好きで非正規雇用者になっているだろう」ということ。その理由も捨てきれない。しかし非正規雇用者の大部分は好きで非正規雇用になったのではない。このことを肝に銘じてほしいとも思った。さらには正社員でもまさに地獄絵図のような窮状について書かれていたところも背筋の凍えるような思いであった。
第2章はひそかに問題化している「貧困ビジネス」に関してである。若者だけではなく貧困の人たちの住まいなどを提供するが1度家賃を滞納してしまっただけで追い出されたということをTVで見たことがある。しかも荷物を持っていくことができずに没収されたような感じで。こういった貧困社を対象にしたビジネスが蔓延っている。また本書に書かれているように多重債務を背負わされた例もある。憲法25条で「生存権」が担保されているが、最高裁の判例によると「プログラム規定説」で担保されないという解釈がある(例えば朝日訴訟や堀木訴訟がそれにあたる)。憲法25条で明文化されている以上、生存権の在り方についての再考もやらなければいけないが、いかんせん政府は財政政策におけることに目がいきすぎているようで、こういった政策がなされていないというのが現状である。
第3・4章はプレカリアート達の叫びに関してである。著者か書かれた本の1つである「生きさせろ!」の如く、生活に関して最低限の担保を求めるデモが増えている。またさらに若者を中心に小林多喜二の「蟹工船」がブームとなっている。「蟹工船」に関しては以前の書評にて取り扱っているのでそちらを参照していただきたい。しかしそのデモも本書ではそういう要求しただけで逮捕されるといったことも起ったという。非正規雇用者は団体交渉権という権利がまかり通らない現状であった。労働法やILOによる条約で担保されているのかというのを調べる必要はあるが、もしこれに関して担保されていないのであれば憲法改正の一部に盛り込むか、もしくは労働法の改正を訴えるかしたほうがいいかもしれない。もし明文化していたらなぜこれが担保されないのかという訴えも起こしたほうがいいかもしれない。
第5章では就職氷河期世代の座談会、そして第6章では石原慎太郎東京都知事の対談が書かれている。第5章は本当にすごい対談であったし、第6章は若者たちと政府、そしてその上の世代の考えというものが同時に聞けて良かった。
最後になるがこのプレカリアート問題を解決するのは政府も行わなければいけないことだが、それと同時に財界もそれを重く見ていかないといけないのではないだろうか。これから労働の中心に立つのが若者の世代と考えると子のような窮状を野放しにして言ったら必ず日本経済に恐ろしいツケとなって返ってくる。そのことを認識したうえでの若者に対しての改革を為さなければ日本は必ず破綻する。私はこう訴えたい。

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