「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

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「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ 「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
鈴木 博毅

ダイヤモンド社  2012-04-06
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ダイヤモンド社 市川様より献本御礼。
今から18年前に「失敗の本質」という本が刊行された。主に日本軍の「組織としての失敗」について、本質的に考察を行っており、「失敗の研究」の草分け的存在として「名著」と呼ばれるようになった。しかし、それを読んだ経営者の中には、それが「ビジネス」の場で役立つのか、という疑念を生じる人もいるのだという。
本書は最近話題となっている「超訳」という形で、ビジネスにも転用できるようにした形で失敗を分析している。

第1章「なぜ「戦略」が曖昧なのか?」
日本軍にも戦略は存在した。しかし日本軍そのものも「軍閥」がいくつか立てられており、今の国会のような状態で対立や揚げ足の取り合いをしながら、根幹である「戦略」が蔑ろにされ、曖昧なものとなってしまった。
日本軍にも屈指の戦略家・参謀が存在した。石原完爾もその一人であるが、彼も関東軍らの対立が深化してしまい、最終的には左遷され、予備役に回された。
日本軍と石原完爾の話はさておき、日本軍と従来の日本企業、その2つにはある共通点がある。それこそ、日本人の戦略が曖昧である要素が詰まっている、と言っても過言ではない。

第2章「なぜ「日本的思考」は変化に対応できないのか?」
「日本的思考」とはいったい何なのか。それは既存のルール(プラットフォームやビジネスモデル)をもとに戦術や戦略を積み立てることにある。しかしアメリカなどの国々の思考は「ルールそのもの」を覆すことにある。これは大東亜戦争の時でもその違いにより敗れ、かつ現代でもグローバル化の競争に後塵を拝している要因でもあった。

第3章「なぜ「イノベーション」が生まれないのか?」
「イノベーション」はビジネスにおいて重要な要素の一つである。日本でも戦後の高度経済成長にて、イノベーションを想像することができたのだが、現在は戦時中と同じくイノベーションの創造ができないまでも言わないものの、創造しづらくなっている。
それはイノベーションを作る方法として「体験的」か「無効化」するか、そのどちらかにある。日本は前者でイノベーションを行ってきたことがほとんどであるが、現在ではそれに限界が出てきた、というところかもしれない。

第4章「なぜ「型の伝承」を優先してしまうのか?」
日本の強みは模倣からさらに進化する形を作ってイノベーションを巻き起こすことである。また同じ技術やノウハウを伝承していくことが常とされてきた。
武道にしても、技術にしても「「型」に始まり、「型」で終わる」風潮にある。これに良い側面もあれば、悪い側面もある。本章ではその「悪い側面」として本質を見ていないところを指摘している。

第5章「なぜ「現場」を上手に活用できないのか?」
現場と指令部の温度差についてを指摘しているが、これもビジネスの面でも言える。例えば工場と上層部、あるいは開発と営業の温度差など物理的、もしくは仕事の内容で「隔たり」のあるところには共通して言える。ある意味「踊る大捜査線」に出てくる名言を思い浮かべてしまうところとも言える。

第6章「なぜ「真のリーダーシップ」が存在しないのか?」
「「真のリーダーシップ」とは何か」と問われると、状況判断力や問題解決力、組織をとりまとめる力があるなど様々な答えがある。いずれも正しい。しかしその核心的な答えは人それぞれであり、一つとは限らないこともあれば、「無い」という答えが返ってくる人もいる。
本章ではリーダーの情報の捉え方や確認、あるいは「勝利の条件」などの要素について書かれている。

第7章「なぜ「集団の空気」に支配されるのか?」
日本人ほど「空気」を重要視する民族はいない。それ故にある人が正しい作戦や判断を提案しても、大多数が逆の意見だったことにより却下され、間違った道に進むことも少なくない。本章では日本独特の「空気」の危険性について指摘している。

『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である』

これは「種の起源」という名著を生み出したイギリスの自然科学者であるチャールズ・ダーウィンが残した言葉である。「変化」というと技術の進歩が挙げられるのだが、もっとも形や積み上げと言った進化だけではなく、「本質」そのものの進化こそ、これからの時代に最も必要な要素の一つである。本書は日本軍の失敗から、昨今置かれている日本の企業や国家といった「組織」に対して、「警告」と「提言」を行った一冊と言える。

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