ユーロの正体~通貨がわかれば、世界が読める

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幻冬舎 様より献本御礼。
昨今までEU諸国では「金融危機」が叫ばれていた。俗に言う「ソブリンリスク」と呼ばれるもので、世界中で国家破綻するのではないかと戦々恐々した。日本でも「日本がギリシャ化する」というような報道が目立ち、政治主張の一つに組み込まれることさえあった。

しかしこの「ソブリンリスク」から端を発した「ユーロ危機」とはいったい何なのか。もっと言うと「ユーロ」「EU」「ヨーロッパ」そのものがどのように成り立っていったのか。そして「ユーロ」は今後どうなるのか、本書はそのことについて分析を行っている。

第一章「ユーロはこうして苦難を乗り越え、成立した」
国にはそれぞれ「通貨」があるのだが、初めて経済連合のなかで「統一通貨」が作られたのが「ユーロ」である。誕生したのが1999年だが、通貨として流通し始めたのが2002年である。
イギリスを除く欧州共同体は1958年のECCから続いていたが、そこから統一通貨の概念が初めて盛り込まれたのが1970年代、それから「仮想通貨」と呼ばれるような目に見えない通貨を導入した。ユーロ導入までも、各国の思惑が絡み合い思うように進まなかった。その「ツケ」が今回の「ユーロ危機」の遠因である。

第二章「ユーロが失敗することは、EMS時代にわかっていた!」
「EMS(欧州通貨制度)」は1978年2月に制定され、各国の通貨について「為替相場」の側から統一を計っていったが、1990年に東西ドイツが統一すると同時に「EMS危機」と呼ばれるインフレ現象が発生した。立て続けに3年後にはスタグフレーションも起こり、四面楚歌の状態に陥った。
今回の「ユーロ危機」は形が違えど、こうした「EMS危機」の繰り返しの様相を見せている。

第三章「ユーロの正体を経済学から読み解く!」
ユーロの貨幣が流通し始めてから、各国で使われた「フラン」「マルク」「リラ」と呼ばれる通貨は消滅した。統一通貨が一般に広まることによって相場は統一された。しかしGDPの延び率や貿易利益などでは各国で差が出た。本章では統一通貨にも関わらず、なぜ経済的な差が出るのか、そして長期金利についてを「経済学」の観点から分析を行っている。

第四章「ユーロ危機の正体」
本書の核心にはいる「ユーロ危機」の正体である。その正体はとどのつまり、日本における「バブル崩壊」とよく似ている、と言うべきか。
そういえばどこかのニュースで「ユーロは日本化している」という記事を見たことがある。それと同じようなことがEU諸国でも起こっていると言えば想像に難くない。
しかし財政事情や経済状態などが異なるため、日本のような「バブル崩壊」に耐え得るかどうかの違いによって、財政危機に見回れる国もあるという。

第五章「ユーロは今後どうなるのか?」
ユーロ圏は財政的な危機に見回れているが、その中でどのような変化を起こるのだろうか。著者は大きく分けて2つのパターンに分けて分析を行っている。

①ユーロ崩壊
②ユーロ圏を一つの合衆国にする(p.163より)

このそれぞれに分かれてユーロ圏の行く末について分析を行っている。

第六章「日本が危機に巻き込まれるとき」
日本でバブルが崩壊したのは1991年の時である。その後アメリカでは2006年のサブプライムローン焦げ付き、そして2008年の「リーマン・ショック」、EU諸国では最初に書いた「ソブリンリスク」。
先進国を中心に続々とバブルが沸き、崩壊する事象が起こっている。そしてそこからBRICs、新興国と同じようなことが起こるという。
その煽りを喰らい、立ち直れず倒れてゆく。そうやって危機に巻き込まれ続け、経済の糸口さえ見えないような状況に陥っている。

日本の経済は閉塞していると言われている。そのため経済成長や雇用が充足するなどをするためにはどうしたらよいのか、それには緩やかなインフレを持つことが必要であるという。自民党が政権を奪回し、これから様々な政策が作られ、実行していくのだがそれができるかどうか、それは首相を始めとした政府次第、という話である。

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