イランとアメリカ~歴史から読む「愛と憎しみ」の構図

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イランとアメリカの関係は「核開発」の観点から冷え切っている。それは前のブッシュ政権のころから、もっと言うと、イランの大統領にアフマディネジャドが就任した時からの事である。しかし、その発言以前はイランとアメリカは良好な関係にあり、79年の「イラン革命」の時にはイラン人がアメリカに亡命する人が多かったと言われている。
イランとアメリカの関係は、なぜ冷え切ったのだろうか、そしてオバマ政権2期目の時のイランへの対応は果たして変わるのだろうか。イランとアメリカ関係、さらにイランを中心とした中東諸国の歴史について紐解くとともに、イランの立ち位置の変化を追っている。

第1章「イラン核開発とイスラエル」
イランの核開発が表面化されたのは2002年頃の話である。その時にブッシュ大統領が一般教書演説で「北朝鮮・イラン・イラクは悪の枢軸である」という発言を行い、世界中で波紋を呼んだ。その時からイランとアメリカの関係は悪化し始めたが、日本で認知される様になったのは最初にも書いたようにアフマディネジャドが大統領就任をした時のことである。
ブッシュ・オバマと2代にわたってイランに対して経済制裁を行うことになるのだが、反米強硬派であるアフマディネジャドは一歩も譲らなかった。
そしてもう一つ、本章のタイトルにある、イスラエルとの関係である。イスラエルはイランが開発する以前から核保有国である。またアメリカとの密接な関係にある中東諸国としてイスラエルが存在しており、パレスチナなどイスラム教国とは険悪な関係にった。2006年にレバノンでイスラム教シーア派組織と紛争を起こしたこともある。

第2章「「アラブの春」後の風景」
時は経ち、2011年にエジプトで発生した「アラブの春」の話に移る。「アラブの春」に端を発した中東諸国・イスラム教国の革命は広がりを見せ、シリアのように現在でも騒乱が続いている国も存在する。

第3章「イランとアメリカを巡る中東情勢の構図」
イランとアメリカは核開発を巡って対立関係があるのだが、もう一つ敵対関係にあるとして、第1章でも書いたとおり、イスラエルもある。アメリカは執拗の如くイランに対し、核開発の中止、及び核兵器の廃棄を求めているのだが、その背景には既に核兵器の廃棄をした例として南アフリカ、カザフスタン、ウクライナ、ベラルーシの例がある。ただし、南アフリカを除く3カ国はソ連との関係によりロシアに移送したりしたケースもあることを頭に入れておく必要がある。

第4章「ペルシアの栄光と苦難の歴史」
イラン人は「ペルシアの栄光」の時代を認識しているように、古代から文明を牽引してきたという矜持を持っている。さらに古代から度重なる戦争にさらされ、被害を受け続けたことから被害者意識も醸成されている。
また、イランなどの中東諸国でイスラム教が誕生し、さらにそこからシーア派・スンニー派などの宗派も出てきた。

第5章「国際政治のはざまで―悲劇の連鎖と血染めの白色革命」
本章では近代~現代にかけての中東諸国の政治史について綴っている。当時の中東諸国は欧米列強によりいくつかの国々が植民地とされた。それが「血染めの白色革命」になったり、「悲劇の連鎖」になったりと言われた。
しかし、その白色革命にいったんの終止符が打たれたのは「日露戦争」である。欧米列強の一国であるロシアを日本が勝利したことから中東や東南アジアなど数多くの国々が注目の的となり、調査団を送る国も少なくなかった。
しかし大東亜戦争の時には多くの国々が日本に対し宣戦布告を行ったのだが、この背景には日本軍に対する憎しみがあったのか・・・と思ったら連合国が新たに「国際連合」を設立し、連合国として戦争に参加した国々は創設メンバーとして名を連ねることができるという利点があったのだという。
様々な国によって悲劇が起こり、惨劇が起こり、歓喜に沸いた。それが中東の近代から現代の歴史なのかもしれない。

第6章「怒濤の1970年代―イラン革命から米大使館人質事件まで」
戦後になってから中東諸国は戦争・紛争の連続だった。イランでは1979年に「イラン革命」が起こり、その前にも、第四次中東戦争があり、日本などで石油ショックが起こった。
イラン革命の話に戻す。本章ではイラン革命が行われるまでのプロセスについて考察を行っているのだが、当時は親米にあったイランは反米・反欧主義だったルーホッラー・ホメイニーが革命を起こした運動である。その後アメリカを敵視するホメイニーは亡命した元国王の身柄を引き渡すことを条件にアメリカ大使館を占拠し、外交官らを人質にとる事件が起こった。この人質事件は1年以上にわたるほど長期的な人質事件として世界中で注目された。

第7章「イラン・イラク戦争と国連安保理」
次は1980年~1988年に起こった「イラン・イラク戦争」の事についてである。主に石油の使用権を巡りイランとイラクが対立していたことに端を発した戦争であるが、どちらも意味は違えど「独裁主義」であり「強硬派」であったことから、戦争中の殺戮は行われ、死者も1,000万人を越えたと言われている。
戦争が長期化になるにつれ国際的にも深刻な問題として捉えられ、安保理としても、アメリカとしても積極的に関与しており、特にアメリカは軍事介入を行ったが、度重なるイランの攻撃や事件により、窮地に立たされることもあった。
その後イランとイラクは国交に回復するようになったのだが、イラクはクウェートに侵攻を行い、「湾岸戦争」を引き起こした。

第8章「冷戦終結後の中東―湾岸戦争、9.11イラク戦争
冷戦が終わってからも中東の戦争は終わらなかった。前述の湾岸戦争あれば、その11年後には9.11が起こり、その後イラク戦争に発展していった。やがて政権はオバマ政権へと移っていった。

第9章「オバマ政権の中東政策」
オバマ政権が始まって最初に行ったのが、パキスタンへの攻撃、及び米兵のイラクからの撤退だった。さらにはリビアへの軍事介入があるなど、中東に対してはブッシュと同じような軍事攻撃、及び介入は続いている。

今年の6月にイラン大統領がハサン・ロウハーニーになった。前大統領であるアフマディネジャドとは異なり「穏健派」として名を馳せている。オバマとロウハーニーがイランの核開発に対し、どのような展開を見せるのか注目を集めている。本書は新たな展開を鑑みるための「歴史」を振り返る転換点の一冊と言える。

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