ユーラシア胎動――ロシア・中国・中央アジア

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かつては経済成長、あるいは発展の著しいところと言うと、日本や欧米諸国と言った所が中心だったものの、21世紀に入ると「BRICs」と呼ばれる国々が台頭してきた。その「BRICs」こそ、中国やロシア、インドなどユーラシア大陸がほとんどである(あともう一つは南米のブラジル)。他にも中東諸国、中でもドバイなどの新興国の経済発展も目覚ましいと言われており、ユーラシア大陸ではヒト・モノ・カネのいずれも沸き立っている、胎動し始めている状況にある。本書はユーラシア大陸が胎動し始めている意味とはいったい何なのか、そしてユーラシア大陸の今後はどうなるのかと言うことについて分析を行っている。

第1章「分割された島―ユーラシアの国境政治」
ユーラシア大陸は地図を見てみれば分かるとおり、かなり広く、それでいて国境もアフリカ大陸ほどではないもののいくつかに分割されている。しかし分割されている国境の中で中東諸国では幾度も紛争が起こり、最近では中国の尖閣諸島・南沙・西沙諸島の進出、韓国の竹島進出が国際問題化されているし、もっと言うとロシアとウクライナではクリミア独立が問題になっている。本章ではそういった所と言うよりも、とりわけ「中露」にて国境間の対立が存在したのだという。

第2章「ユーラシアを束ねる上海協力機構」
ユーラシアを束ねている所はいくつか存在しており、ASEAN(東南アジア諸国連合)もその一つなのだが、本章では「上海協力機構」と言うのを紹介している。これは、

「中華人民共和国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタンの6か国による多国間協力組織、もしくは国家連合」Wikipediaより)

とあり、2001年に設立された組織で、NATO(北大西洋条約機構)に対抗して作られたと言われている。現に、アメリカもオブザーバーとしての参加を要求したが却下された経緯も存在する。

第3章「新しいシルクロードが生まれる」
シルクロードと言えば古代から中国大陸とヨーロッパとで絹などの交易を行っていた道のことを表していたのだが、16世紀を境にだんだん使われなく始め、道は切断されていった。しかしそのシルクロードが復活する動きも見せている。その一つが「ユーラシア鉄道」である。中国の西安からカザフスタンやロシアをまわり、オランダのロッテルダム港までの道程でつながっている。その鉄道はヨーロッパと中国との物流を担っていることから新しいシルクロードとしても認知されつつある。

第4章「中央アジアのダイナミズム」
「中央アジア」と呼ばれる地域はカザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギスの5ヵ国であるのだが、ユーラシアの要と言われているものの、独立してからまだ20年ほどである。その5ヵ国はそれぞれの経済成長を見せる一方で他国との対立もあれば、宗教によるしがらみと言ったものも存在している。

第5章「広がるユーラシア・パイプライン」
ユーラシア大陸の多くは天然ガスなどの資源も豊富で、パイプラインをどこに引くかという外交交渉も行われているほどである。本章では特にロシアにおける石油・天然ガスのパイプラインの広がりについて取り上げている。

本書が出されてから中国・ロシアの経済成長にも陰りを見せ始めたものの、先進国に追いつき、追い越さんとする勢いは変わらない。また、中東諸国はもちろんのこと、最近ではクリミア独立や中国の海洋進出などアジアをはじめとしたユーラシア大陸のいざこざは所々で行われている事実がある。今、良くも悪くもユーラシア大陸を抜きにして国際問題を語ることはできない時代なのかも知れない。

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