世の中がわかる「○○主義」の基礎知識

私自身書評を多く行っており、民俗や政治・国際情勢に関しての文献を数多く読んでいる。しかしその中で「ナショナリズム」や「アナーキズム」、「リベラリズム」など「○○主義」や「○○イズム」と言う表記をいやと言うほどよく見る。実際にそれについて調べることも行っていて、ある程度までは知っているものの、全部わかっているほどでもない。と言うよりもそもそも定義自体が揺らいでいるものもあるので自分としてはこうだという考えもある。

さて本書はそういったものを著者の主張も時には交えて解説している1冊である。各省ごとに対象な主義や類似する主義を紹介している。本書が非常にわかりやすい大きな証拠なのは必ず章末に対照・類似関係の図を載せてあることにある。少し勉強している人でも、そういうことに全く触れたことがない人でも読みやすくなっているので、1冊持って置いても損はないと私は思う。

細かいところで納得いかないのは第9章の愛国心について。愛国心と言うのは非常に定義があいまいではあるが古来の意味としては「愛郷心(パトリオティズム)」にあるという。しかしところによっては「愛国心=ナショナリズム」と定義している国や論客もいるので危険であるというのは少しお門違いである。

本書で特に納得いかないのが「愛国主義=ナショナリズム」としていること。本来ナショナリズムと言うのは「民族主義」であり、愛国主義であるようにあるが完全に愛国主義であるとは限らない。民族主義であるのでナチスによる民族浄化も1種のナショナリズムである。当然韓国や中国の反日運動も1種のナショナリズムになる。それらから考えてナショナリズムと言うのは危険な面―が多いので私自身はあまり使いたくない。前の書評で書いたが私自身「愛国心=郷土愛」と言いたいことだけは付け加えたい。