脳と気持ちの整理術―意欲・実行・解決力を高める

「気持ちの整理」というのは仕事をやっていくことだけではなく、ありとあらゆる場でも大切なことではあるが、いかんせん気持ちの切り替えというのはどうすればいいのかわからないという人も結構いることだろう(私も以前はその一人だった)。

本書は脳を中心とした気持ちの整理術ということについて伝授した一冊である…と言いたいところだが、身体の運動も脳の命令により動くとなると「気持ちの整理術」だけでいいかと思ってしまうが、ここは「脳」も入っているので脳の働きをピックアップしながら見ていく。

第1章「前向きな自分を作る」
「どう動くか?」である。
と言ったら一言で終わってしまうので「前向きになるにはどうすればいいのか」というのが本章の狙いである。
同じことをしたり、難しいことばかりしてばかりいると疲れやすく、さらには思考停止にまで陥りやすい。ときには息を抜いたり、簡単な作業を行ったりすることが思考停止に陥らせないための第一歩である。
弁護士の今枝仁は言った。「だからあなたも息ぬいて」と。

第2章「思考の整理術」
思考というと最近では、「ロジカルシンキング」や「ラテラルシンキング」など、いろいろな考え方がある。特に「ロジカルシンキング」はビジネスをやっていくうえで不可欠なことといわれている。
ここでいう「思考の整理」というのはあくまで仕事の整理に他ならない。
問題や仕事内容を「見える」ものにすることによって、どの仕事を任せておいて、どの仕事を自分で片付けるというのが分かってくる。
「紙に出してみること」
環境問題で「紙の無駄遣い」といわれているからでこそこういった物や方法が重宝される。

第3章「記憶を強化する技術」
記憶を定着させるというのはなかなか難しいことである。1回だけで覚えたとしても人間は鳥頭の部分があるので1日たつと忘れる、もっとひどいと3歩で忘れるということもあり得る。
それを防止するのはどうすればいいか。
「アウトプット」
である。たとえば紙に記憶したことを繰り返し書くだけでもそのことを記憶に定着することもできる。
読書でも感想や気になったフレーズをパソコンにアウトプットするのも一つの方法である。ちょうどこの書評もある意味「備忘録」の役割を担っている。

第4章「アイデアを生み出す技術」
「ひらめきやアイデアというのは何もないところからは浮かんでこない」
アイデアを出すうえで当たり前のことである。
アイデアというのは既存のもののユニークな組み合わせによってその者の隠れた役割を見出すこと、あるいは新しいものを生み出すことという役割を持っている。
ではどのように出せばいいのか簡単なことである。
小さなノートとペンをもって街に出ることである。歩きながらでも思いついたものをバンバン書いてみることで、予想もしなかったアイデアに出くわすことができるのである。

第5章「気持ちの整理術」
おそらく「整理」が最も難しいものなのが「気持ち」である。
気持ちというのは非常に気まぐれで、突発的なことで高揚したり、不快になったりするのである意味でコントロールしにくい。
しかしコントロールができないことはない。たとえば自分の気持ちを紙に殴り書きすることでストレス発散することも可能である。
本章では、さらに違った解釈をすることによって不快を和らげたり、目標を持つということで感情をコントロールする方法を紹介されている。

ありとあらゆることを整理していくと、富士山のようなものだったのが、学校の裏山くらいにちっぽけなものだったということが見えてくる。
「整理」一つであなたの脳や思考が劇的に変化することができる。本書はそれを教えてくれる。