岡本太郎

「芸術は爆発だ!」の名言や、1970年に行われた大阪万博の「太陽の塔」でも有名であり、日本を代表する画家としてなくなった今でも、人気は衰えていない。

ちょっとしたこぼれ話であるが、芸人から画家に転身したジミー大西が画家として尊敬している人物とされており、彼のアドバイスが後のジミー氏の作品に大きな影響を与えた。

岡本太郎の生涯はまさに「反逆」、そして「芸術家」ならではの生涯に満ちている印象である。本書は岡本太郎がなぜ大阪万博において「太陽の塔」を作ろうと思ったのかなど岡本太郎にまつわる様々な疑問について解き明かしている。

第1章「突き立てられた太陽の塔」
大阪万博は約6,300万人もの人が訪れた巨大博覧会であり、かつ日本で初めてとなる博覧会であった。中でも印象に残ったものと言えば、国民的歌手である故・三波春夫の「世界の国からこんにちは」があり、そしてなによりも岡本太郎作の「太陽の塔」の印象がその博覧会を知らない私たちにも受け継がれている。
当初岡本太郎は万博に参画することは考えていなかった。パリ万博にも言ったことがあり、「万博」に関してある程度知っていたからである。当然周囲の反対もあったのだが、彼自身のもっている「生き方」が呼びさまされ引き受けたという。

第2章「反博の巨像」
では岡本太郎の「生き方」とは何だったのだろうか。岡本太郎の作風、思想には「反逆」「反骨」「反博」など、いかにも時代や世間、社会に抗うような思想があり、それが岡本作品に大きく反映されている。そしてなんといっても「対決」が太陽の塔を引きつけさせ、岡本作品が際立って異質、かつ最も目立って見えた。

第3章「「岡本太郎」の誕生」
露出展示や無料というと、よくある美術館の館長は顔をしかめる。しかし岡本太郎はそれを積極的に行った。路傍の石でもいい、作品をじかに触れてもかまわない。「岡本太郎」の作品は美術評論家のためではなく、実際に見たり触れたりする人たちのために描き、造ったと言うべきなのだろうか。

第4章「日本人を呼び覚ます」
芸術家は、クリエイティブの考え、精神によって基づかれている。とはいえ日本では「伝統」という言葉が重んじられている。しかしこの「伝統」という言葉であるが、それにより現状を維持するという言葉とはき違えている人も少なくない。現状維持ばかりをしていては必ずどこかで澱みが発生し、時代遅れ、もしくは破綻をきたす恐れがある。本当の「伝統」は必ず新しいものを吹きいれながら続くものを言っているのである。

岡本太郎は芸術という進化のなかで「美」とは違う「ベラボー」な芸術を生み出して行った。
考えてみると今年は「上海万博」が開かれる。かつての大阪万博は岡本太郎の芸術と日本の高度成長を象徴させるものであったと言っても過言ではない。上海万博はどのようなものを見せてくれるのだろうか楽しみであるが、石景山遊園地のような「パクリーランド」の様相もありそうで怖い。

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