本書を取り上げる時期が遅かったせいか、今となってはFacebookが大いに取り上げられる傾向にある。ウェブ社会の潮流は非常に速いことが窺える。しかしソーシャルツールとしての「Twitter」も隆盛が続いているだけに本書を取り上げるのも一興であろう。
本書は前書である「ウィキノミクス」の続編にあたる一冊でTwitterがもたらす社会の変化について論じつつ、これまで北米で起こっている現象をTwitterとともにみている。章立てが余りにも多いため当ブログでは印象に残った章を抜粋して取り上げることにする。
第1章「ウッフィーって何?」
最初の章には本書のキーワードの一つである「ウッフィー」の定義について取り上げている。
では「ウッフィー」とは何か。簡単に言えば「ソーシャル・キャピタリスト」の別名のことであり、ソーシャルネットワーク、例えばTwitterやFacebookのネットワークを通じて口コミにより人気や話題を作り、広めていく人たちのことを指している。それを一言で言ったのが「ウッフィー」である。
第3章「デルは、商品に対する不満も公開した」
本章を読んでいる時にふと思いついたのがユニクロの戦略として1995年に悪口を投稿したら100万円当たるというキャンペーンをしたことである。当時のユニクロは成長期真っただ中と言われる時期であるが、くすぶる不満に応えるためあえてこのキャンペーンを行ったという。その結果問題点や不満が顕在化することに成功し、商品の改良にも成功することができている。
では本章で取り上げられているデルはどのような形をとったのだろうか。特別な戦略は行っておらず、むしろブログを広告塔として従来は使っていた。しかし度重なるユーザ不満がブログのコメントの形で公開され、やがて炎上していった。それが売り上げやシェアに大きな影響を受けた。しかしメディア戦略チームはそれを真摯に読み、(コメント上で)対話することによって不満の芽を潰していった。
第7章「ウォルマートの失敗に学ぶ」
「ウォルマートの失敗」というと連想するのは2000年代初頭にウォルマートの日本進出を行ったのだが、僅か2・3年で失敗し、日本から撤退したことである。「安さ」では圧倒的な力を誇っていたウォルマートであるが、日本人独特の消費志向を読みとることができず、話題をかっさらっただけで日本市場への拡大への目論見は崩れ落ちた。
本章ではウォルマートのなりすましによる失敗についての事例を取り上げている。企業がTwitterを使って企業宣伝をすることは数多くある。しかしソーシャルネットワークは一度信頼を失ってしまうとなかなかその信頼取り戻しづらいが、それはメディアよりもすぐに伝搬しやすいためなおさらである。
その悪例としてウォルマートのなりすましであるが、架空のユーザ(顧客)を装って広告をしたことにより、すぐに糾弾される。その糾弾の範囲もソーシャルネットワークのみならず、リアルにも影響を及ぼしているのだからソーシャルネットワークのリスクは大きい。
第8章「アップルはなぜ人をわくわくさせるのか」
私の周りには「エヴァンジェリスト」と呼ばれる人が結構いる。「エヴァンジェリスト」とはアップル社製品をこよなく愛し、愛用する人達のことを指している。
どうやらアップルにまつわる製品には人をわくわくさせるものがあるらしいが、なぜわくわくされるのだろうか。斬新なデザインや機能などがあるのではないかと考えてしまう。
それはハッピーにするような商品にすること、さらにフロー体験させるようなものとなっていることにある。ちなみに本章はわくわくするようなヒントを11取り上げられており、一つ一つ事例を取り上げているが、モレスキンやアップルがでていることを考えると私の周りでよく使われるツールがその11の中には入っている。なんたる偶然か。
第9章「無秩序をあえて歓迎する」
Twitterはオープンかつ公序良俗に反しない、あるいは角の誹謗中傷を行わない限り自由な発信と議論が許されている。そのことによって思いもしなかったアイデアや情報にありつけることができ、経営が上向きになった会社も少なくない。
昨年、一昨年はソーシャルメディア革命と呼ばれるような1・2年だった。最近ではFacebookが台頭としていることから実名でのコミュニケーションも多くなる。日本では「匿名天国」と呼ばれるウェブであるが、Twitter共々ウェブに大きなうねりを作っていくに違いない。
コメント