すごい和食

今でこそ「日本食」は世界的にも認知されている。しかしそれを生み出した国である日本では、日本食離れが著しいという。その一方でアンチエイジングやダイエット効果などが解明されており、再評価の動きも出てきている。

本書は「絶倫食」でおなじみであり、「食の冒険家」として知られる小泉武夫氏が和食の凄さについてコラムとともに力説を行っている。

第1章「和食はこんなにすごい!」
日本人は「水」と「粒」を食べる民族であるという。
「水」+「粒」
皆様は何を想像するのだろうか。
答えを言うのももったいないのでここでは割愛するが、日本人を代表する「主食」と言えば誰でもわかるだろう。
本章では日本食ができた成り立ちについてを紹介している。

第2章「和食が持つ魔法の力」
日本人元来ある「和食」、それは根菜や青菜、青果や山幸、豆、海草、魚、そして主食とある。
その主食のおみおつけとして「梅干し」や「漬け物」、さらには干物、鍋物、さらには日本酒があげられるが、本章ではそれらの効能を歴史・科学と両方の分野から紹介されている。
「質素」と言われている日本食であるが、まさに「特効薬」といえる食事なのかがよくわかる。

第3章「和食の土台骨・発酵食」
日本ほど発酵食の多い国は存在しないと力説する。確かに「納豆」「醤油」「漬け物」「味噌」など、日本食には欠かせないものばかりである。
発酵食の効能は食せば体によいばかりではない。「保存食」としても役立てられる。
また、本章では「保存食」の手法を紹介しているが、発酵だけではなく、「干物」「塩漬け」「薫製」「葉包み」も紹介しているが、本章では紹介されていないものの、魚などを保存する方法として「酢漬け」もある。

第4章「和食の危機は国家存亡の危機」
和食に限らず、国や民族としての「食」がなくなるとその国の文化そのものが失われてしまう。そのため和食の危機となると国家存亡の危機につながることは、強ち間違いではない。
戦後日本は急速に食の洋食化が進んだ。江戸時代から明治時代にかけての文明開化よりも遙かに早いスピードである。その追い打ちをかけたのがファーストフードやコンビニ、スーパーマーケットの勃興にあり、それが日本人として大切な和食の意識を希薄化したと指摘する。
また昨今は平均寿命が延びてきているが、それも今の食文化により急速に下がるのだという。
それだけではなく、本章では政治に対する原因もついており、それに対する対策も提言している。

第5章「幼き頃の「食体験」を語る」
著者の幼い頃の話であるが、戦後間もない時代であっただけに、どこも貧しかった時代であった。著者は福島出身であり、出版時期が時期であっただけに福島の思い出がほとんどである。

第6章「食の世界遺産登録へ」
食の世界遺産として「日本食」を登録しようという動きが見られている。著者はその動きに賛同しつつも、著者独自の選択基準を設けている。その基準を元に、日本と海外の食の世界遺産を紹介している。

「食」は人間に限らず、動物にとって大切な行動の一つである。そして食はその国、地域の主食や名物、さらには食べ方も兼ねて「民族性」を表している。日本食もまたその例外に漏れておらず、日本そのものを表していると言っても過言ではない。今の日本を問い直すと同じように、日本食も問い直す必要がある時代に来ている。著者はそれを本書にて指摘している。

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