コンビニと日本人 なぜこの国の「文化」となったのか

もう「あたりまえ」の存在となっているコンビニだが、1970年代に作られた産物で、30年後、このようにインフラの如く扱われている存在になるとは誰も思わなかった。(ちなみに起源は諸説あるので、起源の説明は割愛しておく)

本書はコンビニの歴史、及びビジネスとしてのコンビニと言うよりも「インフラ」としての「コンビニ」の存在について、過去の災害と現在の社会と照らし合わせながらコンビニの存在について解き明かしている。

第1章「東日本大震災とコンビニ」
もう3年前の話なのだが、今もなお「昨日のこと」と言える様な災害が東日本大震災である。東北ではまだまだ復興から立ち直れていない状況の地域もあり、災害に対しての課題をどうすべきか、山積状態にあると言っても過言ではない。
その震災の中でコンビニは災害支援として生活に欠かせない食料品を供給する役割を担った。というのは普段は販売している食品・日用品を支援物資として被災者に無償提供をすると言うことを行ったのである。もちろん震災の日から数日間は全国展開している主要コンビニはこぞってトラックで配送して食料品などを提供していった。
しかし、震災とコンビニでもう一つあるのが、首都圏である。それは深刻な品不足であり、これはコンビニに限らずスーパーでも同じことが言えたのだが、ミネラルウォーターや食料品などの品が少なくとも一週間、長いときには10日間以上欠品する状態が続いたこともある。最近でも山梨の大雪による品不足もあった。

第2章「人口減少社会とコンビニ」
コンビニは全国各地に出店しているが採算の合わない店舗はアッサリと閉店してしまう。そうやりながら店舗数を増やすだけでは無く、人口変動に合わせてコンビニ出店にも変化を持たせている、マーケティングなどを駆使した出店戦略をしているとも言える。人口というと2009年以降日本では人口が減少し続けている。減少し続けている中でコンビニの店舗数が増加しているのだが、その因果関係は何か。そのことについて取り上げている。

第3章「少子高齢化社会とコンビニ」
少子高齢化は既に進んでおり、これからもその傾向が強くなることは間違いない。その中で「買い物弱者」の存在も浮き彫りになっている。「買い物弱者」は地方に住んでいる方で近くにスーパーやコンビニなど食料品が買えなくなる現象や、高齢化に伴い食料品を買うことができなくなる状態の事をさしている。最近では「買い物弱者」対策のために「ネットスーパー」も普及をしている一方で、電話一本で買物代行をやってくれるサービスも存在する。もちろんコンビニでも少子高齢化対策を行っていないわけでは無い。「少子高齢化対策」だと防止するための手段と捉えがちだが、その時代に対応した販売方法やコンビニの役割などを担っている。例えば高齢者保護、防犯対策などがある。

第4章「ネット社会とコンビニ」
ネット社会と呼ばれて久しいが、ネット社会とコンビニも関連性が存在する。例えばおサイフケータイのサービスも行われているし、他にも公衆無線LANサービス、さらには国際送金サービスなどもある。少し前にはネットショッピングで買物ができる様になった、と言うのもある。

第5章「コミュニティとコンビニ」
コンビニはコミュニティの中で生きているのだという。つながりの場にもなるし、地域としての場として買物と共に利用することができる。またコンビニによっては地産地消を行う所もあるので、「地域」と「コンビニ」の密着性は高まっていると言っても過言ではない。

コンビニはビジネスとしての役割だけでは無く、インフラとしての役割を持っている。他にもコミュニティとしての役割を担っており、様々な顔を持っていると言っても過言ではない。時代の変化に順応しそれでいながら生き続ける。現代の日本の象徴とも言うべき存在なのかも知れない。