学校で学ぶ「数学」、しかしその科目を忌避する人は少なくない。ましてや学んだとしても、「生活の役に立たない」というほど、生活と直結しないと考えられている。
しかし、この数学は実際の生活に直結しているのだという。しかも私の生活の目に見えないところで。本書はその「目に見えない所」で活躍する数学を解き明かしている。
第1章「指数・対数は人間の命を守った!」
高校の時に学ぶ「三角関数」や「指数・対数」、前者は「天文学の計算」で、後者は航海で使われたという。後者は現在使われるかどうかはわからないものの、大航海時代(15世紀)の時に使われ、命も救ったのだという。
第2章「体のなかに潜むlog」
「log」は対数に使われる単位である。元々英語で対数は「logarithm」と言い、その頭文字3つから取られている。
その「log」という単位は音や光といった量を計ることができるという。
第3章「あなたの位置は数式でわかる!」
最近ではスマートフォンの需要が急速に伸び、かつGPSの機能の需要も増している。そのGPS機能はカーナビ、さらには戦闘機などで使われた歴史もある。第二次世界大戦から使われ始めたといわれると約70年ほどの歴史があるのだが、本章ではアインシュタインが提唱した「相対性理論」を用いて説明している。
第4章「パソコンを支える2進法の威力」
本職にもっとも近い分野であるが、パソコンそのものの成り立ちは「0」と「1」によって成り立っているため、そのことはよく知られている。その2進法も「0」と「1」は「ON」と「OFF」、私たちの用語で「I/O」と使われる。本章ではそのことが中心である。
第5章「ネットのセキュリティーは安全?」
最近ではシステム業界に限らず、様々な所で「セキュリティー」が叫ばれている。とりわけインターねっとのセキュリティーは顕著であり、ありとあらゆる手を使ってセキュリティーの向上をしているのだが、イタチごっこの如く、セキュリティーを作っては破られるという繰り返しの状態である。
本章ではそのネットにおけるセキュリティーの基礎である「公開鍵」と「秘密鍵」の仕組みについてを紹介している。セキュリティーはなかなか奥深い分野であり、専門用語も乱舞するため、そういった分野に関わっている人でなければちんぷんかんぷんになりやすいのだが、本章では基礎部分にとどめているため、初心者にとっては分かりやすい。
第6章「黄金比と白銀比」
本章のタイトルからしていきなり訳わからないように見えてしまう。しかし後者の「白銀比」はコピー用紙など身近な分野で使われており、コピー機で「拡大」や「縮小」の技術のカラクリについても追っているため、本書のなかでもっとも面白いところと言える。
また「黄金比」も絵や生け花、さらには和服など身近にあり、かつ見えるものの定義について語っている。
第7章「身近な「単位」の壮大なドラマ」
おそらくもっとも身近にある数学の単位の一つとして「メートル」がある。その「メートル」単位が誕生したのは、なんと「フランス革命」の時である。その革命政府で、「科学アカデミー」が誕生し、科学を用いた単位を誕生させたという。ではこれまでは、というと当時は「キリスト教(カトリック)」が絶対的な地位にあったため、科学もその下に屈しており、科学的な解明ができ、提唱したとしても、それが宗教裁判に掛けられることも少なくなかった。有名どころではガリレオ・ガリレイの地動説がある。
第8章「スピード・メーターと数学」
最後は微分・積分の話であるが、これをよく使う分野として工学や建設関係などがあることを聞いたことがある。
本章では自動車や飛行機から微分と積分について解き明かしている。
数学は一見生活に密着していない用に見えて、見えないところまで見てみると、密着しており、かつ役立っている。しかしそれを知らなければいけないか、というとその必要性はないものの、「知っているとおもしろくなる」というのがこの数学の面白さであり、本書のねらいと言える。
コメント