本書は出版部から出ているが、そのもととなった東京大学では推薦入試が導入する方針を固めたという。日本一の学府として世界中で知られている東京大学。時代は変化をするが如く、東京大学も入試のスタイルなど様々な形で変化を起こしている。
大学入試や入学時期ばかりではない。学問そのものも変化を起こしている。大学、もしくは学会の中で研究成果としてあげられるだけのものもあれば、「産学連携」と言う言葉がある通り、研究をもとに産業の発展に貢献する学問や大学も存在する。
そもそも学問は現実にたいして、どのように関わるのかは今も昔も変わらない命題としてある。本書は学問そのものが何のためにあるのか、その価値はいったい何なのかを、政治学を引き合いに出し、考察を行っている。
Ⅰ.「学問はなぜ必要か」
政治学を取り上げるとなると、マックス・ウェーバーの「職業としての学問」が引き合いに出てくる。そのマックス・ウェーバーの「職業としての学問」をベースに2012年度における東大大学院の入学式祝辞、そしてある学生の手紙などを取り上げている。
Ⅱ.「政治の現実と学問」
学問は「机上の空論」と言われることがある。それは現実と学問それぞれの考え方、あるいは考察が乖離しているからにあるという。
本章では政治思想学の草分け的存在であり、東大教授も歴任した丸山眞男の思想をベースに考察を行っている。
Ⅲ.「学問と価値観」
今の日本、ないし社会において「学問」はどのような価値があるのだろうか。それは人それぞれであり、学問から来る考察もその人々の価値観と経験、見識によって異なってくる。しかし「学問」は多かれ少なかれ、私たちの見えないところで影響してくる。それはこれを書いている自分自身にもわからない。
「学問」はない方がよいと思うときもある。しかし、自分自身の生活や社会を注視してみると、ありとあらゆる所に「学問」は根付いている。それ故、学問は無くてはならない存在であるのだが、その重要性は中々見出すことはできない。その見えない中で「学問」はどのような価値をつくるべきか、あるいは「学問」を磨くべきか、それは学問の知らない私たちが見出す命題なのかもしれない。
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