人の「幸」「不幸」はそれぞれの価値観で決まる。その価値観の中で自分は「不幸」とへりくだる人も少なくない。
企業にしても少なくない。景気は上向きになっているご時世であるが、それでも倒産になる、ならずとも火の車状態になる様な状態になっている企業も少なくない。
本書は「企業再建屋」「人生立て直し屋」と呼ばれる経営コンサルタント・桂幹人が様々な人との出逢いを通じて、仕事とは何か、会社とは何か、経営とは何か、家族とは何か、そして何より人生とは何かをライターの角度から経営コンサルタントの姿と再建までのプロセスを映し出している。
第1章「哀れな二代目社長の決断」
経営者の親から経営のバトンを託され、悩む「二代目社長」は少なくない。先代の経営スタイルが染みついている状態にあり、改革を使用にもなかなか上手く行かない経営者も少なくない。そのことによって売り上げが伸びなくなり、倒産の憂き目に瀕している二代目もいる。本章では二代目だからというしがらみに絡まれることのない心、「志」や「真理」の重要性を説いている。
第2章「何で私ばっかり? 介護がつらい」
高齢化社会、というよりも「超高齢社会」と呼ばれる様な時代となると「介護」の重要性は高まる。介護に対して「抵抗」や「疲弊」の感情を持つ人は少なくない。
本章は介護に対する「疲弊」から「真理」でもって説いている。
第3章「サラリーマンを辞めて起業したい」
景気がどうであっても、今の企業は「安定」と言う言葉が揺らいでいる。そのために起業をする人もいれば、上下関係に苦しみ、辞めた後に起業したいと言う人も少なくない。
しかし「志」や「真理」「目線」がしっかりしていないと失敗をしてしまう。
本章では起業家に対する心得を前述のキーワードでもって説いている。
第4章「倒産しかけの経営者」
日本には約7百万の会社が存在する。多かれ少なかれ「倒産」をする、もしくは「解散」する会社もあり、毎日どこかで倒産をするような計算になる。
倒産は経営者にとって最もネガティブな現象にあるのだが、著者の経営コンサルタントは「倒産を楽しむ」という考えの持ち主である。本章では倒産の危機に瀕している経営者との相談をもとに「倒産を楽しむ」理由を語っている。
第5章「シングルマザーにだって夢がある」
日本は「離婚しやすい」社会と言われている。離婚をして子どもを引き取る、いわゆる「シングルマザー」や「シングルファーザー」となる人も少なくない。
本章ではシングルマザーの苦労と、夢について経営コンサルタントの観点から解決への道筋を示している。
第6章「ワーキングプア地獄から抜け出せない」
ワーキングプアになる人も少なくなく、中には「生活保護」をもらわないと生活できない人も出てきている。大卒があたりまえになっているような状態の中で、中卒・高卒といった人々は淘汰されることも少なくない。
しかし会社にしても経済は「実力社会」である。実力社会の中で大きな武器になるのが「欲望」であるという。本章では「欲望」をもとにワーキングプアに悩む若者との相談を描いている。
第7章「俺を活かせる再就職がない!」
定年はこれまで60歳と言われていたが、最近では65歳に引き延ばしたり、死ぬまで雇用されるような会社もある。本章は定年退職した方の再就職についての相談を取り上げている。
第8章「私だって結婚したい。不倫女の叫び」
結婚願望は年々薄れつつある世の中であるのだが、心のどこかで「結婚願望」を持っている。その願望はたとえ「不倫」をしている人でも、である。
本章は不倫をしている女性が結婚について人生について立て直しを行うためのやりとりを紹介している。その中で「落ちる」と「堕ちる」の違いは最も印象が深い。
第9章「仕事も家庭も大切にしたいビジネスマン」
近年は「ワーク・ライフ・バランス」や「イクメン」と言う言葉が使われる。それを実行する人も多いのだが、上手く行かない、と言う人も少なくない。よく使われる言葉はやがて「あたりまえ」や「常識」として捉えられてしまうのだが、本章はその「あたりまえ」た「常識」の功罪を糾弾し「真理」の重要性を説いている。
第10章「つぶれかけ工務店を再生せよ」
倒産とまでは行かなくとも「つぶれかけ」と呼ばれるような会社も少なくない。本章ではつぶれかけの住宅販売会社の相談をもとに、経営における「真理」とは何か、そしてそれをもとに「生き抜く」事とは何かを説いている。
各章ごとの相談に対する返し方、切り口は独特そのものであり、文字伝いでもゆったりとした関西弁が響いているような気がしてならない。自分自身も4月から新たなことを始めたのだが、本書は自分で行っている事業にとって大きくプラスになるヒントを得たような気がする。
本書はいわゆる「常識外れ」の考え方で答えている一冊であるが、その「常識外れ」は今までの「固定観念」や「常識」、「価値観」に縛られていたものから解き放たれるための「本質」や「真理」を見出す。その「真理」で自分なりの答えをつくるための手助けと言えるのが本書であろう。
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