昇進者の心得―新任マネジャーの将来を左右する重要課題

会社勤めの方には「出世する」といったことは、人それぞれあるのだが、存在する。その一つとして「昇進」が挙げられるのだが、その「昇進」をするにも心得がある。また昇進して「マネジャー」に就いた人もまた心得が存在する。

本書はその昇進やマネジャーの心得についての課題と経験、戦略について伝授している。

第1章「新任マネジャーはなぜつまずいてしまうのか」
管理職になると仕事も振る舞いも、平社員と大きく異なる。一旦管理者の仕事をやってみると、初めてのことだらけで疲れてしまう、もしくは悩んでしまうといった「つまづき」に陥ることが度々あるという。
本章ではマネジャーになることに対する悩みや誤解、さらに不安などについて、実例とともに取り上げている。

第2章「新任リーダーが犯しやすいミス」
人間は「ミス」が付きものである。しかし、マネジャーやリーダーになると、ミスの度合いも大きくなり、取り返しのつかないこともある。もっと言うとたった一つのミスで首を切られる、そうでなくとも閑職に左遷されるといったこともある。
本章では新しいマネジャーやリーダーが犯しやすいミスの内容とその予防策を提示している。

第3章「功を急ぐと、なぜ失敗するのか」
リーダーに関わらず、ビジネスパーソンが求められるのは「結果」である。しかし「結果」ばかり急ぎすぎてしまえばしまうほど、思うような結果が得られず、最悪の場合「失敗」をしてしまう。
本章では拙速で結果を出そうとする危険性と、それを回避する方法を提示している。早々と結果を出したがる人もそうだが、結果を求める人にとっても肝に銘じるべき章である。

第4章「頼れる部下(フォロワー)と困った部下(フォロワー)」
いわゆる「部下力」と呼ばれるものであるが、リーダーの目から見て、使える、信頼できる、困ったもの、信用できないような人それぞれといる。本章ではタイプ別の部下との接し方、あるいはプロジェクトへの参加の促し方について提示している。タイプ別に別れているため分かりやすいが、「十人十色」というだけあり、タイプで収められることは難しい。しかし参考程度までであれば実践の価値はある。

第5章「リーダーが部下に翻弄される時」
部下をまとめることができないと、コントロールすることができず、翻弄されてしまう。なかには部下から批判を受けることさえある。その批判などの部下から言葉の受け止め方と組織の価値観の判断の仕方について伝授している。

第6章「だれが信頼すべきか」
「リーダーは孤独な人」と言われるのだが、いかんせん「支え」がないと、心が折れてしまうこともある。本章では「支え」を部下に見立てて、部下とリーダーの「信頼」の尺度をどのように認識するのかを説いている。

第7章「完全なるリーダーはいらない」
リーダーとて人間である。
人間は完璧な人はいないので、どこかに欠点や苦手なものはある。リーダーの欠点を補うために、部下が存在している。一人ではできないからでこそ、組織のビジョンを描き、斬新なアイデアをつくり、組織を活発なものにすることがリーダーとしての仕事としてある。

第8章「なぜ地位は人を堕落させるのか」
数年前に「組織行動論」について書評をしたとき、「権力」や「地位」を持つことによって人が堕落してしまうメカニズムを紹介してきた。本章もそのことを取り上げている。

新たにマネジャーやリーダーに昇進する人のなかには、なかなかうまくいかず、悩み、心がおれてしまう人がいる。本書はリーダー論のなかでは難しい部類に入るのだが、リーダーとしての悩みの本質を突いており、そこからの処方箋も提示しているため、新たにリーダーやマネジャーになった人にとってバイブルとなる一冊といえる。

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