文化と外交 - パブリック・ディプロマシーの時代

外交にも様々な種類があるのだが、中でも有名なものとして「文化外交」が挙げられる。これは国々の文化を人的交流や放送などを通じて、国内外の世論を働きかける、といったアプローチの手法であり、日本でも「クール・ジャパン」を中心にした政策を行っている。最近では安部内閣の肝いりで「クール・ジャパン推進会議」を開き、日本の文化を国内外に売り込むといったことも展開している。

では、この「文化外交」とはどのような歴史をたどり、手法はどのようなものがあるのか、「文化外交」の疑問点、もしくは短所はどこにあるのか、本書は文化外交をありとあらゆる観点から解き明かしている。

第Ⅰ章「変遷」
「外交」そのものの起源は紀元前にある、古代ローマや古代ギリシャの時代にまで遡るのだが、実際にいつ始まったのか、明確な年代は不明である。それは「文化外交」も同様であるが、現存として判明できているのが、マケドニア王アレクサンドロス大王が紀元前331年にペルシアの文化を取り入れ、ペルシア仁の集団結婚を奨励したことから始まる。
それ以降、文化外交は西欧諸国を中心に展開していった。その一方で、日本でも紀元前から中国大陸から文化を取り入れたこともまた「文化外交」といえる。

第Ⅱ章「作法」
では、「文化外交」にはどのような作法が存在するのだろうか、本書では、

1.対象理解
2.政策広報
3.文化外交
4.交流外交
5.国際報道

とある。ちなみに3.は本書のタイトルと同じじゃないか、という指摘があるのだが、「3.」はあくまで狭義による定義であり、海外の方々に文化を触れる事だけを行う、というものである。その一方で広義は1.から5.まですべてを言っている。

第Ⅲ章「懐疑」
文化外交は、海外の文化を理解することによって国際交流を行う手法だが、それについて懐疑的・批判的な人も少なくない。懐疑的な人の中には、リベラル派のような人もおり、さらには文化人類学の立場から、さらには保守・原理主義の立場から文化外交そのものを「侵略」だと考えている人もいる。

第Ⅳ章「日本のパブリック・ディプロマシー」
本書のサブタイトルには「パブリック・ディプロマシー」という言葉がある。これは何なのかというと、

「1.交渉経過を公開しながら進める外交。
2.政府と民間が連携しながら、広報や文化交流を通じて外国の国民や世論に働きかける外交。広報文化外交。広報外交。対市民外交。」「コトバンク」より)

とある。
日本のおける「文化外交」として、最初は「クール・ジャパン」を言っていたがそれだけではなく、日本語学習もあれば、「原爆ドーム」を見学するなど、日本の立場から戦争の悲しさを伝えることもまた「文化外交」として行われている。

最初にも書いたのだが、外交には様々なものがあるのだが、その中でも文化外交は日本でも独特の文化があるため、武器としては種類が多いのだが、それを外交官や政治家がいかに利用できるのかにかかっている。以前にも書いたのだが、外交は「武器のない、言葉だけの戦争」と言い、国益に絡むような厳しい交渉の連続である。最近ではTPPに対する話題の中には、かなりきつい要求を突きつけられながらも徹底抗戦するようなニュースも出てきている。それだけ外交は厳しいものがある。本書は外交の中でもけっこうライトな「文化外交」のイロハを知ることができる

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