人はなぜ、同じ間違いをくり返すのか

人は誰しも「間違い」を生み出す。その間違いについてどのような原因があり、解決していくのかということを考える必要があるのだが、「間違えるな」ということを往々にして言う人も少なくない。そういった方々は「間違い」に対して後ろ向きにとらえている、あるいは否定的にとらえている方々がほとんどであるのだが、第1章にも書いてあるとおり「人間」である以上は「間違い」は避けて通れないものである。ではどうして間違いが生じてしまうのか、そしてその間違いを繰り返してしまうのか、本書はその原因と対策について取り上げている。

第1章「人は間違える動物である」
人間は行動を起こすことによって何らかの「間違い」を生じる。その「間違い」には失敗と言えるようなものから、「棚からぼた餅」とも言えるような新たな発見もある。「間違い」はあながちマイナスな方向ではないと言えるのだが、間違いを犯す・犯さないの違いは「頭がよい」や「計算ができる」というわけではなく、人間である以上「間違える」ことは避けられない。肝心なのは「間違い」に気づくかどうかであるという。

第2章「「間違い」の本質を知る―どんな人が、どんな間違いを犯しやすいか」
間違いについて本章では以下の7つに分類されている。(p.54より)

1.落雷型
2.猫のお化粧型
3.めだかの学校型
4.這っても黒豆型
5.馬耳東風型
6.お殿様型
7.即物思考型

上記を見ただけでもなかなか判断が付かないものの、それぞれについてどう行ったことで間違いを犯すのか、その行動や考え方の傾向について上記の「型」に見立てている。

第3章「「間違えること」の意義―考える力を養うために」
現在に本における学校教育では「間違い」に対して許容がなされていないわけではないが、完全に許容しているとはいい難い。勉強をすることに際して、どこかで「間違い」で覚えてしまう、学んでしまうことがあるのだが、その間違いについて気づき、いかにして間違えたのかについて考える必要がある。これは「失敗」に対しても同じ事が言えるのだが、「考える」ということは必ず「間違い」や「失敗」が生じる。その生じたものについて「なぜ」を分析することで「知」となる。

第4章「「間違い」から何を学ぶか―どうしたら間違いを生かせるか」
「間違いを犯さない」ことが大切ではなく、むしろ「間違いから学ぶ」ことが本当の意味での「学び」になり、「経験」につながっていく。もちろん「間違い」は良いものと悪いものがあるのだが、どのような違いがあるのか、成長していくための「間違い」の向き合い方について伝授している。

「間違い」は誰にでもある。しかしそれに気づく・気づかないだけでも大きな違いであり、かつどう向き合っていくかにしても、学びになるか、逆に同じ間違いの繰り返しになってしまう。「間違いはある」ということを認識し、それでいて「どう向き合い、学びにしていくか」が大切であるという事を本書では伝えており、「同じ間違い」を繰り返さない一里塚である。