5年後、メディアは稼げるか―Monetize or Die?

紙のメディアが右肩下がりとなり、それに取って代わるものとしてウェブメディアが隆盛してきている。しかしウェブメディアも数多くあり、質的にも玉石混淆と言える様な状況である。ちなみに本書の著者は「東京経済オンライン」の編集長を務めており、就任してからわずか4ヶ月で、ビジネス誌系のサイトでアクセス数No.1に導いた実績を持っている。その体験の中で著者自身が痛感したこと、また体験を通じてウェブメディアは稼げるのかどうか、本書にて綴っている。

第1章「ウェブメディアをやってみて痛感したこと」
著者が「東洋経済オンライン」の編集長を務めた時に意識したものとして「ユーザー第一主義」「タイトル重視」「断言」などが挙げられる。もちろん他にもあるのだが、ページビュー(PV)数を10倍にした。
それと同時に、紙媒体にしかできないこと、ウェブ媒体でしかできないことがあるということ、そして紙媒体、またはウェブ媒体にて重視すべきこと、さらには紙媒体ならではの強みを持っていることを痛感せずにいられなかったという。

第2章「米国製メディアは稼げているのか?」
メディアの世界はまさにレッドオーシャンと呼ばれる程の血みどろの戦いが続けられている。もちろんそれは日本に限らず米国でも同じである。
本章における「稼ぐ」は主に「広告収入」を表しており、紙などの既存媒体でも広告収入が激減しているのだという。かといってネット媒体は反対に伸びているのかというと、単価が安いことも理由としてあるのだが、全体的に伸び悩んでいる状態にある。しかし著者はそういった現状を打破するために、血みどろの戦いと言われている状況に合っても稼いでいるメディアを参考にした。

第3章「ウェブメディアでどう稼ぐか?」
「東洋経済オンライン」はアメリカのウェブメディアで稼いでいる所を参考にしているのだが、実際の所、日本のメディアと米国のメディアとは業界構造が異なる。本章ではその業界構造の違いと、まだまだ残っている新聞・雑誌の可能性、そしてウェブメディアで稼ぐ考え方について取り上げている。

第4章「5年後に食えるメディア人、食えないメディア人」
ウェブメディアが隆盛する今、記者・ライターも増えてきているのだが、増えた分だけその価値は下がるという。その反対に、記事の質を上げる、あるいは選別する「編集者」が重要視されるという。そのため5年後に食える・食えないとして大別するならば記者・編集者といえるのだが、記者の中でも経験や考え方などの「素質」の面でも生き残る可能性があるという。

ウェブメディアはこれからも広がりを見せ、競争も熾烈なものになっていく、今流行しているものでも、すぐに廃れてしまうものもあれば、生き残っているものもある。ウェブメディアとして生きていきたい、そして自分の力を活かしていきたい方であれば、本書を通じて、自分の生きる道を見出したら良いのかもしれない。