日本の無戸籍者

2016年に上梓された「無戸籍の日本人」の続編にあたる一冊である。もっとも今の日本には1万人もの「無戸籍者」がいるのだという。民法を始め様々な法律が改正されているにもかかわらず、である。戦争や災害における戸籍喪失もあれば、貧困により役所に出生届が出ておらず、戸籍がないというような方々もいるという。

その「無戸籍問題」を追っていくうちに今の「戸籍制度」の曖昧さが浮き彫りになったのだという。その戸籍制度の曖昧さと無戸籍問題の経緯とは何か、歴史と事例から考察を行っている。

第1章「「無戸籍問題」とは何か」
実際の所「無戸籍者」の具体的な人数は把握されていない。実態調査が行われていないためである。ようやく出てきた統計でも法務省の調査にてあった「少なくとも1万人」の見解があるだけである。そのため実際の無戸籍者はもっといると言っても過言ではない。その無戸籍を巡って裁判も行われているのだという。
もっとも無戸籍であると教育を受けることができず、身分証明すらままならない。そのため日常生活においても不自由を被ることもあるという。

第2章「「法律」という壁」
最近では事実婚やできちゃった婚が出てきているのだが、子どもでは戸籍上どのようにあたるのか、とりわけ親権は「民法772条」によって定められているのだが、定められている中での「解釈」によって先述のことでできた子どもの親権はどうなっていくかという「壁」があり、それを巡っての裁判が行われているほどである。

第3章「「戸籍」とは何か」
今でこそ法制化している「戸籍制度」であるのだが、そもそも「戸籍」の概念はいつごろからできたのかというと、中国大陸にあるのだという。その時には文書的な「戸籍」ではなく、「家族」における「戸」の概念が醸成されたに過ぎない。日本には飛鳥時代における「大化の改新」にて律令国家として形成づけられたときに「戸籍編さん」が行われたことが始まりとされている。

第4章「消えた戸籍を追って」
本章では、戦争をはじめとした事情により戸籍がなくなり「無戸籍」になってしまった方々が「戸籍」を得るまでの戦いを記している。

第5章「グローバリゼーションと戸籍」
本章では「無戸籍」ではなく、「二重国籍」の是非について取り上げている。この問題については2016年において民進党の女性党首となった蓮舫が日本と台湾の「二重国籍状態」にあったことに端を発したことにある。元々日本では「国籍法」があり、そこでは二重国籍が認められていない。海外に目を向けてみると、二重国籍が認められている国があるのだが、なぜ日本では二重国籍が認められないのか、そのことについて言及している。

第6章「「戸籍」がなくなる日」
「戸籍」は今もなお日本にあるのだが、戸籍は廃止されるべきか、存続されるべきか、議論は今のところ見かけない。もっともなぜ「戸籍」が必要なのかについての議論もあまり聞かないのだが、著者は「無戸籍者」にまつわる取材を続けていく中で「戸籍はなくした方が良い」という意見に至ったという。その理由と戸籍がなくならないのかという疑問も取り上げている。

「無戸籍」に関する話は冒頭にも書いたとおり、著者の前著にて初めて知ることとなった。もちろんその経緯もあったか、家族法も改正することとなったのだが、今もなお無戸籍者がいることから根本的な解決には至っていないと言える。無戸籍者の問題を分析して行くにあたり、「そもそも日本に「戸籍制度」は必要なのか?」という疑問も抱くようになったようだが、当たり前にあることもまた疑問を持つ必要があることを「戸籍問題」「無戸籍問題」を見ていく中で感じた。

スポンサーリンク