就職とは何か

今年の3月に大学生の就活が本格的にスタートした。その前にもちらほらと面接が行われたり、説明会が行われたりしているところがあるのだが、本格的には3月からスタートとなる。景気は後退しているとはいえ、未だ「売り手市場」と呼ばれているという。本書はその就職はいったいどのようなものか、そして働くとはどのようなことか、そのことについて取り上げている。しかし本書は2011年に出版されているため、第1章の内容は時代にそぐわない部分が多い。

第1章「就職氷河期から新氷河期へ」
なぜ本章が時代にそぐわない部分が多いか、その理由は出版当初の経済状況にある。東日本大震災に伴い、景気はいわゆる「二番底」と呼ばれるような状況となってしまい、就活も新しい「氷河期」となる「新氷河期」と呼ばれる時代となったことが挙げられる。

第2章「就活ビジネスとルールなき新卒採用」
「就活ビジネス」と言うとピンと来る人もいれば来ない人もいるのだが、よくある「リクナビ」や「エン・ジャパン」などの就活ポータルサイトの運営、さらには就活塾・就活コンサルなど様々なものがあり、内定獲得に向けて様々なことに手を出す学生も少なくない(かく言う私も内定獲得に向けて就活コンサルや就活塾を受けたクチである)。
こういったビジネスのほかにもルールなき新卒採用と言うのがある。それは経団連などが策定する「倫理憲章」と言うものがある。冒頭で述べた説明会解禁が3月になったのもこのためであるのだが、実際にいくつかの企業ではそれに則らず、早めに説明会や面接選考などを行っている所もあるという。

第3章「雇われて働くということ」
就活市場の乗用はここまでにして置き、本章と次章では実際に内定を取って、正社員として働くということはどのようなことかを知る必要がある。本章では学生の企業選択の本質から、初任給の定義、さらにはなぜ「正社員」が生まれたのか、さらには最近増えている派遣などの「非正規雇用」について取り上げている。

第4章「時間に縛られて働くということ」
正社員は必ずと言ってもいいほど時間に縛られる。もちろん育児などのやむを得ない事情による「時短」もあるのだが、それでもなお正社員への時間的拘束は強い。しかしそれだけではなく、「残業」というものがある。この残業が過度、かつ長期なものとなり過労死や過労自殺の引き金となったことについても指摘している。

第5章「就職に求められる力と働き方」
就職をする際、学生に対してはどのような力を求めているか、そして実際に就職をしたときにどのような働き方が求められるのか、本章では大学のキャリアデザインや学生時代のキャリア教育、そして企業の採用選考の基準などについて取り上げている。

私自身就職活動を行ったのは今から9年前のことである。当時は小樽に住んでいたのだが、就活のためにほぼ毎日のように札幌へ移動し、面接や説明会を転々としたこと、そして月に1~2回東京にいったこと(お金がなかったから泊まりは必ずネットカフェだったこと)を今でもはっきりと覚えている。

もちろん私のような就活スタイルを踏襲している方はいないと思うのだが、これから内定に向けて動き出す方は、自分自身の未来、どのような仕事をしていきたいのか、そしてどのような人生を送りたいのか、入念に突き詰めていった方が良い。そのことによってあなたに合った企業はきっと見つかるはずである。