鸚鵡楼の惨劇

本書の舞台は1962年、東京都新宿区にある小さな洋館「鸚鵡楼(おうむろう)」と呼ばれるところである。そこで起こった事件は50年に渡って続くものだった。実際に事件が起こったのは冒頭にもあったように1962年だが、その後1991年にはその事件による恐怖が漂っていた。

その漂っている恐怖が再び2013年に現実となって現れたというのが本書の物語である。異なる時間軸でありながらも、同じ場所で起こる惨劇、その惨劇にはどのような謎が包まれているのかを紐解くのだが、紐解く中でミステリーの中でも見せるホラーな展開も存在している。それでいながら複雑に交わる人間関係もまた、2つの殺人事件をリンクしているように思えてならない。