江戸「捕物帳」の世界

捕物帳(とりものちょう)とは、

「江戸時代、目明しなどが、捕物について記した覚え書」「広辞苑 第六版」より)

とある。いわゆる警察の立場であるのだが、そういった大衆作品は多く、特に話題となっているものとして長らく二代目中村吉右衛門が主演を務めた「鬼平犯科帳」がある。本書ではその捕物帳の役割の部分と、それに関する作品とともに列挙している。

第一章「江戸の町奉行」
いわゆる「お奉行様」と呼ばれるところが町奉行である。時代劇になっている人物も多く、有名どころでは「大岡越前」こと大岡忠相(おおおかただすけ)、「遠山の金さん」でおなじみの遠山景元(とおやまかげもと)が挙げられる。

第二章「与力・同心・岡っ引き」
町奉行の他にも与力や同心、さらには岡っ引きなどサポートをする役割を担う人物もいた。時代劇ではあまりフォーカスされないものの、重要な役割として本章でも取り上げている。

第三章「裁判・刑罰・盗賊」
江戸時代にも犯罪をした人を裁く場所、いわゆる「裁判」をする所は存在した。もっとも時代劇にもそういった場面は数多く出てくるのだが、時代劇と史料との違いはどこにあるのか、また犯罪者でも時代劇の中で取り上げられたところがあるのだが、その人物と誰かも列挙している。

第四章「江戸の自治」
江戸時代にも「自治」と呼ばれる場所があり、どのような役割を持ったのかというと政治的というよりも、警察といった役割であった。

第五章「火付盗賊改方」
本章のタイトルにて真っ先に連想する人物として「鬼平」こと長谷川平蔵宣以(はせがわへいぞうのぶため)である。もちろん本章でも鬼平を取り上げているのだが、そもそもなぜ池波正太郎は鬼平を問い上げたのか、そのことも併せて取り上げている。
なおこの「鬼平」は現在アニメでも放映されている。

第六章「牢屋敷」
牢屋敷というと刑務所のイメージを持たれるのだが、実際はそうではない。むしろ「拘置所」と呼ばれるところに近い。もっとも刑罰も牢屋に入れられるよりも多種多様の処刑があったため、刑務所と言える「獄」という所が少なかった。

第七章「関東取締出役・代官」
関東取締出役はいわゆる税務署のような存在である。税務署とはいっても金銭というよりも米などの「年貢」でもって納めていた。

江戸時代における警察や税務といった役割を担うものというと本書のように取り上げられている。侍が多いように思えるが、そうではなく、いわゆる地味な役割を担う人々が多かった。しかしながら続々と時代劇の題材にされることが多く、「華やかな舞台」の錯覚を見出してしまう。その虚実と現実の差を見出しているのが本書と言える。

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