ぬるい毒

「毒」と言っても色々な種類がある。物理的な毒もあれば、発言にとげやブラックジョークなどがある言葉の毒、精神的に負の状態に陥れるようなこともあるような毒も存在する。

その存在する毒の中で本書はどのような「毒」に当てはまるのか。本書を読んでいくと、人々の「ウソ」で塗り固められた「毒」を表している。その関係が持ちつ持たれつであることから「ぬるい」という言葉が当てはまる。

しかしその「ぬるい」は冷たさも熱さもなく、妙にまとわりつくようなものがあり、それが人間関係のドロドロとした雰囲気を醸し出す。その醸し出す中で女性はひたむきに生きていく。
本書は一言でいえば女性が東京に状況した物語であるが、その中身は一言で語ることは非常に難しい。そもそもそのプロセスの中で出てくる人間関係における様々な「毒」が映し出されているのだから、その「毒」がまとわりつくように作られている面から「ぬるい」と言えるのかもしれない。