ポジティヴ・アクション――「法による平等」の技法

日本国憲法の中には「法の下の平等」が第14条にて定義されている。これは権利・義務の中においていかなる場合であっても平等であることを原則として述べられており、日本に限らず先進国を中心とした国々でも採用されているのが「平等」である。その平等におけるアクションとして本書にある「ポジティヴ・アクション」があるのだが、実際に日本に限らず、様々な国にて行われてきたアクションにはどのようなものがあるのか、そのことを取り上げているのが本書である。

第一章「ポジティヴ・アクションの展開―各国の取組み」
ではなぜ「ポジティヴ・アクション」を行う必要があるのか、そこには日本に限らず先進国を中心に様々な「格差」が生じている。その格差を是正するために、平等を行うような法律の制定や政策が行われるようになった。本章ではアメリカ・フランス・EUなどの国々でのケースを紹介しているのだが、経済の格差と言うよりも人種差別対策といったものも挙げられる。

第二章「多様な手法に学ぶ―ポジティヴ・アクションの諸類型」
ポジティヴ・アクションの方法は様々であり、なおかつ国によっても手法はことなる。その異なる手法はどのようなものがあるのか、そしてそのアクションを行う理由とはいったい何かも併せて取り上げている。

第三章「違憲論争―普遍主義と差異主義のはざまで」
格差を許さない論者、許す論者とで対立がある。もっともそれが「普遍主義」と「差異主義」との対立における論争がある。その対立はいったいどこから来るのか、そして意見の食い違いと争点について論じている。

第四章「日本の選択肢」
では日本において「ポジティヴ・アクション」はどのように実行されてきたのか、もっとも「男女平等」や「経済平等」などが行われた。しかしながら諸外国に比べて行動は少ないという。

第五章「社会的合意をめざして」
本章では「男女共同参画」を中心とした平等について取り上げている。もっとも共同参画によって「男女平等」をうたい、社会的合意を図ろうとしているのだが、実際にうまくいっているのか、その疑問も兼ねて追求している。

「法の下の平等」は憲法にも記されているように守るべきものであるのだが、社会的にどうなっているのかというと首を傾げてしまう。だからでこそ「ポジティヴ・アクション」は必要なのではないかと本書を読んで思ってしまう。