挑発的ニッポン革命論 煽動の時代を生き抜け

なんともセンセーショナルなタイトルであるのだが、アメリカが現時点で「煽動」と呼ばれる時代に来たという。その煽動が世界に伝播して時代をつくっているのかも知れない。そのような時代の中であたかも「挑発」しているかのように日本に対して煽動の時代をどう生き抜けば良いのかを提言しているのが本書である。

第1章「トランプ旋風と煽動政治――9.11からフェイクニュースへ」
ドナルド・トランプが大統領に就任する以前から大統領によって「煽動政治(ポピュリズム)」が行われるようになった。本章では世界最大のプロレス団体「WWE」を引き合いに出し、アメリカの政治はどのようなスタイルなのか、そしてドナルド・トランプはどのような政治運営を進めていくのかを取り上げている。

第2章「欧州とテロリズム――吹き荒れる移民排斥の嵐」
欧州ではテロや移民などのことで対立を生み出し、国によってはEUから脱退するようなことがあった。欧州にしても中東は看過できないものであるという。

第3章「リアリズムなき日本――負け続けるリベラル」
日本では2012年の後半に安倍晋三が首相に再登板してからリベラルが負け続けているという。もっとも戦後のリベラルは、本当の意味での「リベラル」と齟齬があり、勘違いをしているのだという。

第4章「日本人が知らない「日本の差別」――在日・移民・フェミニズム」
日本にも差別がある。もっとも「ヘイトスピーチ」は海外でもあったのだが、2010年代になってから表立ってヘイトスピーチを助長するようなデモ運動が広がりを見せ、メディアでも話題となった。他にも在日やフェミニズムといった差別はあるのだが、移民についても高いハードルがあり、それを著者は差別と捉えている。

第5章「日本のメディアに明日はあるか――マスコミの罪とネットの罪」
日本のメディアは真実を伝えているのかというと必ずと言ってもいいほどそうではない。もっともメディアに煽動されて、政治などが動いているような気がしてならないのだが、それはインターネットにも同じ事が言える。また海外メディアの引用についても言及している。

第6章「タブーへの挑戦――パイオニアたちの闘い」
メディアの世界には様々な「タブー」が存在する。その存在するタブーに対して、どのようにすべきか、そのことを提言している。

かくして日本はメディアにとって自由な環境なのかというとそうではない。もっとも「自由」と言う言葉をどう捉えるかもまた考える必要のあるものの一つであるのだが、「煽動」が蔓延している政治の中でどのように渡り歩くべきか、挑発と言う言葉を用いながらも日本を思って論じられていた印象が強かった。