跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること

会話ができなくても、考えたり、何らかの形で伝えることができる。それはどのような人にも共通して存在するものである。本書の著者は「自閉症」を持っており、なおかつ他人と会話することができない方であった。しかし口からではなく、文章から度のように考えるのか、そして自閉症として生きる姿とは何か、そのありのままが綴られている。

第1章「僕と自閉症」
著者は自閉症であり、人との会話ができない。また口から発するものは謎だらけである中で新しい知識を取り入れることが多くあるという。本書は「自閉症とはこうである」ということを伝えるだけでなく、「こういう人間もいる」ことを伝えることを念頭に置いている。

第2章「感覚と世界」
著者はただ会話ができないだけであって、文章をはじめとしたコミュニケーションを取ることができるし、なおかつ感覚を持っている。笑顔にしても、触覚にしても、人並みに存在する。様々なものを観察したり、それを言葉にて紡いだりすることで、自分自身の考えを伝えられるようになった。

第3章「他者とともに」
自閉症というとネガティブな印象を持たれることが多い。もっともその自閉症から脱するための物語は様々な媒体で伝えられているのだが、いずれもネガティブなものが多い。その固定観念を脱するために文を発表したり、講演したりするなどしているという。

第4章「考える歓び」
その中で「考える」ことの歓びを見出してきた。会話ができないと言うことを負荷にするのではなく、だからでこそ文章を紡ぎ出したり、講演で言葉にしたりするなどして「伝える」ことをしているのだが、そこには様々なことを考える歓びがあるからである。

第5章「今を生きる」
今の人生を生きるためにどうしたら良いのか、自閉症を患っていても、自分はここにいる、生きている、そして伝えることができることを講演や文章の中で伝えていく意気込みを持っている。

自閉症であったとしても伝えられる手段は数多くある。その可能性を見出し、自閉症の考え方を変える、そして自閉症であったとしても自分自身を伝えることができる、そして自分自身はどういう人間なのか、そのことをこれでもかと言うほど伝えている。