HSCの子育てハッピーアドバイス HSC=ひといちばい敏感な子

皆さんは「HSC」という言葉をご存じだろうか。調べてみると、

「ひといちばい敏感な子(Highly Sensitive Child)」(p.2より)

だという。敏感にも程度はあるのだが、空気を必要以上に読む、あるいは悪い空気やニオイ、さらには言動に対して非常に敏感であり、特にネガティブな事を受けることによっては人以上にストレスとして蓄積するようなことさえもある。もちろん悪いことではなく、感受性が非常に強いため、芸術的なことに対する感動も強く受けることができる側面もある。

子育てを行う親の中にはHSCになっていないか、そしてもしHSCであったとするならば、どのように子育てを行ったら良いのか分からないといった方々もいる。その子育てについての傾向と対策を伝授しているのだが、本書は全部で20章ある。ここでは選りすぐりの6章を取り上げる。

1.「他のことちょっと違う?HSCとは、どういう子どもでしょう」
冒頭でも述べたように「HSC」は人一倍敏感になってしまう人のことであるのだが、それは感受性や身体的な敏感さもある。そのために「得意分野」を持つことがあるのだが、喜怒哀楽が強く出てくるようなあるという。

2.「HSCかどうか知るための、23のチェックリスト」
敏感になることは良いことかというと決してそうではない。内面世界が複雑であったり、感受性があったり、弱者に優しかったりといった側面もあれば、正義感や感受性が諸刃の剣となって逆に攻撃的な側面を持ってしまう、あるいは変化などが苦手になってしまう側面もあるという。その傾向について取り上げている。

4.「HSCは「治す」ものではありません。「自分らしさ」を伸ばしていきましょう」
そもそも「HSC」は病気でも障害でもない。どちらかというと「気質」といった側面が強くある。そのため治すと言うよりも、むしろそういった気質があるのだから、それを尊重するようなことが求められる。

9.「「甘やかすからわがままになる」は間違いです」
人を肯定することは「甘やかす」といった認識をもたれる人がいるかもしれないのだが、実際はそうではない。甘やかすことは「自己肯定感」を持つことができ、なおかつHSCを持つ人にとっては「薬」にもなるという。

13.「「この子はこの子でいいんだ」境界線を引くと、子どもは、伸び伸びと成長します」
人は性格にしても考え方にしてもそれぞれ異なる。その異なることを肯定することもまた、個性を育てることが大切である。それがHSCであればなおさらであり、適度な境界線を引くことによって、子どもとしての個性を伸ばすことができるようになる。

15.「HSCの特性は、見方を変えれば子どもの長所の表れです」
HSCは見方によっては長所にもなる。そもそも長所と短所は紙一重であり、その紙一重である側面をいかにして特性として見出し、そして与えるのか、そのことを取り上げている。

世界の5人に1人は「HSC」にあるという。様々な面で敏感であり、感受性が強いそうであるのだが、それを肯定することからはじめ、そしてそれを伸ばし、大切にすることもまた子育ての方法である。難しいように思えるのだが、本書で取り上げたアドバイスは大いに役立つと言える一冊である。