もっとも国籍とは
「1.一定の国家の所属員たる資格。
2.航行機・船舶等の一定国家への所属。」(「広辞苑 第七版」より)
とある。よく言われているのは1.の意味であるのだが、根源的な意味はなかなか難しい。人・国によっては二重国籍になる人もいれば、無国籍の人もいる。
そもそも国籍はどのようにして決まり、なおかつ国籍の基準とはどこにあるのか、本書はその疑問について解説をしている。
第1章「きみはナニ人?」
「日本人」とひとえに定義してもなかなか難しいかもしれない。純粋に日本生まれ・日本育ちで国籍が日本であれば日本人なのだが、日本国籍で外国育ちという人もいる。さらには逆に当初は外国国籍だったが、帰化して日本国籍を取得してもまた日本人である。他にも日本名であるのだが、国籍が外国になり、そこで子どもが生まれるという、いわゆる「日系人」もいる。そのため「ナニ人」と質問されると、その答えはシンプルとは言い難い。
第2章「国籍は、どう決まる?」
日本の国籍法では国籍は1つだけしか持つことができない。しかし例外があり、生まれ・育ちの状況によって20歳未満で二重国籍になる人もいる。その方々に対しては22歳までに選択するといったことが求められる。
もっとも海外に目を向けてみると二重国籍をはじめとした多重国籍者は存在しているほどである。
第3章「外国人と日本人と、きみとぼく」
そもそも人としてのアイデンティティを求められる要素として、「国籍」が挙げられるのだが、そもそも日本人・外国人などの「○○人」の定義は、国籍だけで決めることができない。
国籍とアイデンティティを考察してみると、けっこう根の深いものになってくる。というのは国籍だけではあくまで「どこの国の国民」とまでしか判断することができない。そのため何人かどうかは、国民という面では法律で担保されている一方でアイデンティティの面では文化や境遇によって変わってくる。そのことを認識する必要があり、なおかつマイノリティを求めるのであれば国籍を越え、その人々の考えも取り入れ、理解することが求められる。その考えるきっかけとなるのが本書である。
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