ルポ ゴミ屋敷に棲む人々

最近はあまり見ないのだが、ルポ番組やニュース番組などでゴミ屋敷に関する話を見たり聞いたりしたことがる。もっともゴミ屋敷になるような部屋になるような心境をはじめとした状況はどのようなことなのだろうか。本書は「ルポルタージュ」としてゴミ屋敷になった方々のこと、そしてそこから脱するための支援のことを取り上げている。

第1章「セルフ・ネグレクトとは何か」
ゴミ屋敷をつくる傾向を持つというのはどのような心境があるのだろうか、そこで出てきたものが「セルフ・ネグレクト」と呼ばれるものである。自分自身で何もしない・置き去りにするといったことがあたり、なおかつ「虐待」をするといったことがあるのだが、自分自身による「心身的」「経済的」「身体的」の3つの側面からの「虐待」を指している。もっともそれらの「虐待」といっても「自殺」と同意義なのかというと、殺すわけではなく、いたぶるといった面ではイコールとは言えないという。

第2章「事例でみるセルフ・ネグレクト」
ゴミが捨てられず「ゴミ屋敷」になるような方々を実際に取材を行った章である。もっとも「ゴミ屋敷」になった経緯、そしてどのような原因があったのか、中には病気に限りなく近いような傾向に陥ることがあるのだが、人生において大きな出来事により、そのショックを負ってしまった人もいた。

第3章「セルフ・ネグレクトと孤立死」
本書では「無縁社会」に通ずる所もあるのかもしれない。自分自身が「孤立」となってしまい、やがて誰にも支援を受けられることもなく、独りで逝去すると言った「孤立死」が社会的な問題となっている。その「無縁」の状態になるにも様々なきっかけがあるのだが、その孤立死はどのような事例があるのか、いくつかの事例と共に傾向について考察を行っている。

第4章「セルフ・ネグレクトの課題」
セルフ・ネグレクトからいかに脱するかだけでなく、セルフ・ネグレクトをどのように扱っていくべきかという課題がある。その課題に対してどのようにして向き合っていけば良いのか、そのことについて取り上げている。

第5章「セルフ・ネグレクトの人たちをどう支援するか」
そのセルフ・ネグレクトになった方々をいかにして「支援」をして行くのかが課題となる。生活改善から、孤立死から脱出するためのサポート体制はどのようにあるべきかなど、様々な角度から取り上げている。

ゴミ屋敷というとネガティブなニュースが流れている印象があるのだが、その真相を見てみると、今ある日本社会の闇が見え隠れする。その闇に対していかにして向き合い、それを光に変えていくべきか、私たちは考える必要がある。