人魚姫の椅子

ロマンチックなタイトルのように見えるのだが、実際には小説を書く高校生と椅子職人との交流を描いているのだが、季節は移ろいながら関係は変化する。それは人の成長も含めて変わってくる。その変わってくる中では距離も出てきて、いつしか「別れ」も出てくる。その当たり前と呼ばれることもいつか終わることを受け入れられなかったことが、失踪事件の引き金となった。

何てことない2人の関係がなぜ失踪事件の引き金となったのだが、なぜその変化を相容れなかったのか、そして本当にその「距離」が事件の引き金となったのかなど、その真相も描かれている。

物語と椅子といった2つの関係、男と女の2人の関係、その「2」というキーワードが密接に関係しながらも、ミステリーを描き出す一冊であった。