無限の玄/風下の朱

本書はタイトルの通り2編の作品が1冊に収まっている。

前者の「無限の玄」は父親が死んだところから始まるのだが、その父親があたかもゾンビのように生き返る。しかしその生き返るさまは死んだ家族が戸惑いを隠せなくなってしまった。

もっとも摩訶不思議な物語であるのだが、なぜ生き返ったのか、そして家族が抱える苦悩とはいったい何なのか、と言うことを展開している。もっとも後者が中心であり、「家族」そのものの苦しみがまざまざと思い知らされてしまう。

後者の「風下の朱」はソフトボールに打ち込んだ女子が、大学に進学し、球技でありながら異なる「野球部」に入部し、野球に勤しむものであるのだが、そもそも野球とは何なのかと言うよりも、指導者が何を見ているのか、そのほかにも「女性」の存在とは何かと言うことを考えさせられる。

2編は男性・女性対照的な物語であり、なおかつ毛並みは違えど、それぞれの描写が興味深かった。

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