仮面ひきこもり あなたのまわりにもいる「第2のひきこもり」

「ひきこもり(引きこもり)」でも社会問題として長らくあり、特にそのひきこもりについては中高年層でも起こっている。そのため若年層特有のものばかりではなく、日本国民の中でも幅広く取り上げられるような問題として挙げられる。

その一方で、メディアにてなかなか取り上げられていないものとして本書で取り上げる「仮面ひきこもり」である。根本的な意味は第一章にて取り上げるが、従来ある「ひきこもり」とは異なり、メディアでは取り上げられない、というよりも「取り上げにくい」側面がある。いったいどういうことが原因で、快復するにはどうしたら良いか、そのことについて取り上げているのが本書である。

第一章「仮面ひきこもりとは何か」
「仮面ひきこもり」とは、

「社会参加をするひきこもりである。彼らは普通の社会生活をしており、部屋には閉じこもらない。しかし、社会的ひきこもりと同じく、誰とも親しくなれない特徴がある。
 会社員ばかりではなく、主婦にも多く見られ、フリーターから教師、公務員、専門家に至るまで、社会のあらゆる分野に存在している。」(p.28より)

とある。周囲から見たら引きこもりではないと思われがちであるのだが、なかなかひきこもりであることを悟られていないため、見つけることも難しい。そのためメディアでも「取り上げにくい」要因にもなっている。

第二章「仮面ひきこもりの症状と傾向」
「仮面ひきこもり」になる要因としてはいくつかあるが、本章では

・人間不信
・対人恐怖
・感情マヒ
・人格の解離(二重人格)(pp.65-66より)

といったものが基本症状としてあり、そこから派生しての症状を挙げると多岐にわたる。しかもそれは会社などの社会の場だけではなく、結婚した後の「仮面夫婦」や「仮面家族」といった状況にもなっており、単純に「ひきこもり」とは言い難い部分もある。

第三章「仮面ひきこもりはなぜ起きるのか」
そもそも「仮面ひきこもり」が起こる要因としてはどこにあるのか。大きく分けると「家族」と「自分自身」にある。前者は家庭環境による両親、特に母親が子どもに対する接し方によって仮面を着させられたという人もいれば、逆に後者の場合は自分と他人との人間関係により、素の自分とは異なる、いわゆる「外面」の自分を演じる「仮面」を持ってしまうと言った要因がある。

第四章「仮面ひきこもりからの快復」
仮面ひきこもりからの快復については、従来あるひきこもりに対するカウンセリングとほとんど一緒であるという。もっとも著者が行うカウンセリングは「ひきこもりセラピー」と呼ばれており、実際のカウンセリング方法を採り上げている。

第五章「仮面ひきこもりと日本社会」
そもそも「仮面ひきこもり」が生まれる要因として、日本社会、さらには文化も要因として挙げられる。特に結婚や恋愛について「仮面夫婦」や「仮面家族」といった結婚や家族を持っていても仮面ひきこもりがあること自体日本特有であるのだという。

「仮面ひきこもり」はもしかしたら私もあなたもかかっている一種の傾向にあるのかもしれない。もっともよくあるひきこもりとは違い、自覚症状もなかなかないため、見つけることも難しく、治すことも難しい。しかし「仮面ひきこもり」は治すことができ、その最初の一歩として自分は「仮面ひきこもり」であることを自覚するところから始まる。

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