既に梅雨前線による豪雨が発生しており、災害が起きている状況にある。その梅雨が過ぎ、真夏のシーズンとなり、やがて台風のシーズンにもなる。「災害大国」と呼ばれて久しい日本では「備え」が大切になってくるのだが、その「備え」は果たして万全なのか、という疑問も残る。またその「備え」自体が本当に必要なのかという疑いをもたれている所もあるのだという。本書ではその昨今の日本における「備え」に関しての疑問と批判を行いつつ、これからの防災の在り方を提示している。
第一部「国土交通省防災の欺瞞」
阪神淡路大震災、東日本大震災、紀伊半島大水害や台風、鬼怒川決壊など20・30年を遡っても大きな被害が出た。そもそもそれらの災害にどのような教訓があったのかを取り上げているのだが、災害復興・対策のために国交省の人たちが何を行ったのか、その欺瞞について批判を行っている。
第二部「これからの防災の在り方」
ハザードマップや避難についての独自の方法を提示している。特に「避難指示」について、
「「避難指示→避難所への避難」と思い込むと無理が生じる。避難命令ではなく指示である。「避難する」、「避難しない」は個人の選択であり、自己責任である。これまで述べたように、その人の健康状態、環境、その時間の状況により、個人にとっての最適解は変わる。自己責任の原則に基づき、自立した市民として判断できるよう、勉強を日頃からしておくことが大事だ」(p.108より)
とある。文字から見たらその通りかもしれないのだが、本書が出たときには既に「避難指示(緊急)」といった基準が出たり、特別警報などの場合は「直ちに安全確保を」「直ちに命を守る行動を」が出たりと、避難を強制するのではなく、あくまで命を守るための行動をおこなう呼びかけとしている。また避難指示が出たとしても行動を行わないといった世帯もあった。それを避け、防災の啓発も含めた見直しが行われ、今年の6月から「防災気象情報」の警戒レベルの運用も変更されている。しかしながらそれでも防災につなぐことが難しく、課題が残っていることも事実としてある。
日本における防災や備えはまだまだ課題は多くある。台風にしても、水害にしても、地震にしても、「災害」は自然にて起こるため、想定外のことが起こる事も少なくない。そのような中でどのように防災を行っていくか、国単位のマクロでも行っていることは確かであるが、それだけでなく、個人単位での「ミクロ」の部分での防災意識を持つこともまた必要である。
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