今となっては「コロナショック」と言われて久しく、株価としては若干落ちているだけにとどめているものの、コロナにおける解雇も3万人を超えるほどにまでなり、実体経済には深刻な影響を受けている。その規模はリーマンショックを超えるほどという指摘もあり、不況どころか「恐慌」と言う言葉にもなる可能性さえもある。
その風潮に水を差す一冊が本書である。いわゆる「ピンチはチャンス」と言う言葉を表現しているかのようであるのだが、本書は今まではポジティブに捉えているものが多い一方で、「楽観」「中立」「悲観」と3つに分けて、ポジティブ・ネガティブなどいくつもの視点からどのように変わり、それをいかにして「チャンス」に転じていくか、そのことについて取り上げている。
第1章「コロナショックで変わる世界」
「コロナショック」は世界経済の中で暗い影を落としている。数日の間に時価総額が約10兆ドル(日本円で約1,070兆円(2020/07/18現在))減少しているのだから、どれだけ世界的に悪影響を及ぼしているのかがわかる。日本でも3万人の解雇があったのだが、アメリカで1700万人にも及ぶ。日本でも緊急事態宣言が5月26日に解除され、終息に向かっているように見えたのだが、実質的な第二波が起こっているほどである。ちょうど100年ほど前にスペイン風邪が世界的に流行し、終息するまでに約3年ほどかかり、なおかつ日本でも大流行が3回(1918年10月~1919年3月、1919年12月~1920年3月、1920年12月~1921年3月)と起こっていたことからもう1~2回起こるとも考えた方が良い。
第2章「糸川英夫とコンドラチェフの4つの仮説」
経済変動を勉強した方であれば「キチン」「ジュグラー」「クズネッツ」「コンドラチェフ」の4つの波を覚えている方も多い。その中でも特に著者は今年コンドラチェフ循環における文化や経済、技術の革新が起こる事を予見しており、その仮説を4つ取り上げている。
第3章「コロナ後の「空前のバブル」に備えよ」
コロナが終息した後のバブルが起こる事について取り上げている。その背景にはリーマンショック以後のこと、前章にて述べたコンドラチェフ循環のこと、さらには海外の動向についてなど複合的な要素があるのだという。
第4章「2020-2021 日本を占う3つのシナリオ」
今年・来年にかけてどのようなシナリオを描いているのか、そのことについて取り上げている。本書の冒頭にあった「楽観」「悲観」「中立」とこの3つの観点からシミュレーションしている。
第5章「経済指標から見えてきたコロナショックの正体」
コロナショックは経済にも大きな影響を及ぼしているのだが、その影響は経済指標の「数値」から見ても明らかであるという。どのような所が明らかになっているのか、本章ではその点を取り上げている。
第6章「今こそ勝負したい至極の黄金株24」
著者の「黄金株」シリーズと言うべきかもしれない。このような状況の中で株式投資を行う際に黄金株となり得る銘柄を取り上げている。
スペイン風邪を見てみると秋~冬にかけての流行が3年連続で起こっているのだが、昨今の新型コロナウイルスは梅雨から真夏にかけても大流行するなど、季節性とは当てはまらない。そのため第二波もそうであるのだが、第三波・第四波がいつ起こるかわからない、また終息もするかどうかもわからないと思った方が良いのかもしれない。そのなかで経済はどうなっていくのかわからない。しかし「ピンチ」という言葉はあるにせよ、その裏には必ず「チャンス」がある。そのチャンスのポイントは本書にてとらえている。
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