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2020年8月

いますぐ彼を解きなさい―イタリアにおける非拘束社会への試み

「拘束」と言うと自由を奪うというものであり、特に犯罪に関しては「身柄を拘束」するという言葉を用いることが多い。しかし本書で言うところの「拘束」は犯罪における拘束ではなく、精神医療における「拘束」の廃止に向けた動きを取り上げている。 なぜ精神利用において「拘束」が行われているのか、もともとの精神科での医療に関わっており、2018年という過去の記事になるのだが、精神科病院では身体拘束が急増しているとい […]

毒よりもなお

カウンセラーと自殺願望の高校生の物語である。カウンセラーと高校生が初めて会ったのは、図書館内で開かれていた出張カウンセリングの所である。そこで高校生が悩みを打ち明けたのだが、その時に初めて自殺願望であることが明らかとなった。しかもその高校生から明かされたのは、ある「サイト」である。 今となってはあるかどうかもわからないのだが、10数年前には「裏サイト」や「闇サイト」と呼ばれた中で、自殺サイトという […]

本気でFIREをめざす人のための資産形成入門

本書のタイトルにある「FIRE」は「火」の事を表すのではなく、「Financial Independence and Retire Early」の頭文字4つを合わせたものである。米国では台頭する経済的自由を達した中でのリタイアを表しており、著者自身は30歳にして、「FIRE」を達成し、セミリタイアを行っているという。著者がセミリタイアを達成した、投資手法、そして資産形成法について「入門書」として伝 […]

老侍

兵士というと、若い人をイメージするのかもしれないのだが、老人が兵士や戦士として戦場に赴くと言うシーンもある。実際に老兵の中にも大きな活躍をする人物もいるほどである。 本書は短編集であるが、いずれも老兵たちの活躍を描いている。その老兵は6人。方や一向一揆を迎え撃つため、息子らの敵を討つため、軍師として重要な戦いを指揮するため、息子の謀反に対抗するためと様々である。 老境となると、身体的な能力は落ちて […]

農業新時代 ネクストファーマーズの挑戦

技術革新と言われて久しいのだが、その技術革新の波は農業にも及んでいる。むしろ農業がこの技術革新の中心地になりつつあるのだという。かつて農業は「斜陽産業」とも呼ばれ、衰退が続くといったものであったのだが、近年では企業の農業進出のみならず、新しい技術をもって農業に革命や新時代をもたらすという方々も少なくない。本書はその農業と、その周囲の産業における「イノベーター」たちを取り上げるとともに、農業における […]

猫脳がわかる!

もしも「猫」の脳の中を覗けるのであれば見てみたいものである。実際に猫を飼ったことはないのだが、野良猫に出くわすことが多々あるため、猫に触れるようなことはある(もちろんエサは与えていない)。しかし出くわすと、近づくかと思いきや、すぐに逃げられることが多々あり、猫は何を考えているのかわからない、とも思ってしまう。 私のようなケースは実際に猫を飼っている方もいるのだという。認識のズレにより、猫はストレス […]

紫外線の社会史――見えざる光が照らす日本

真夏と呼ばれる季節で、晴れた日は日光がまぶしく、なおかつ紫外線も非常に強い時期である。人によっては日焼けをするから好意的に捉える人もいるのだが、中には紫外線は肌荒れの原因にもなるため、紫外線対策を徹底的に行うという人もいる。 そもそも紫外線自体は見えないものである。見えないものに対してどのように関わってきたのか、本書は紫外線と社会との関わりについて取り上げている。 第1章「紫外線ブームの時代へ」 […]

みんなの「わがまま」入門

「わがまま(我儘・我侭)」とは、 1.自分の思うままにすること。自分の思い通りになること。 2.相手や周囲の事情をかえりみず、自分勝手にすること。きまま。ほしいまま。みがって。 3.思うままにぜいたくを尽くすこと。また、そのありさま。「広辞苑 第七版」より とある。実際に皆がわがままになると、成り立たないというようなイメージを持たれ、なおかつ周囲からもいい気はしない。多くの理由としては「わがまま」 […]

生きることの社会学ー人生をたどる12章

「社会学」は、一見生活と縁遠いように見えて、実はかなり密着している。今日の社会現象と日常などを紐解く中でミクロ・マクロ問わずに紐解いている学問である。そもそも社会学は生きていく中でどのようにして密接に関わっているのか。本書は生まれたから死ぬまで、そして国家や社会そのものに至るまでの社会学を紐解いている。 第1章「社会とは何か」 そもそも「社会」とは何かについて根源的な所を紐解いている。辞書で見ると […]

いきぢごく

漢字に直すと「生き地獄」である。とある芸能事務所の会長が、とある番組で体験していることを連想してしまう。 それはさておき、本書は42歳のとある女性が父から相続することとなった遍路旅の日記を取り上げている。実はこの遍路日記は戦前に綴られたものであり、しかも大東亜戦争の前に当たる。当時は車もなく、なおかつ徒歩でお遍路をするため、足を始め、色々な所を痛めつけながらの旅であり、今のような人生とは、自分とは […]