農業新時代 ネクストファーマーズの挑戦

技術革新と言われて久しいのだが、その技術革新の波は農業にも及んでいる。むしろ農業がこの技術革新の中心地になりつつあるのだという。かつて農業は「斜陽産業」とも呼ばれ、衰退が続くといったものであったのだが、近年では企業の農業進出のみならず、新しい技術をもって農業に革命や新時代をもたらすという方々も少なくない。本書はその農業と、その周囲の産業における「イノベーター」たちを取り上げるとともに、農業における未来地図を描いている。

第一章「イノベーターたちの登場」
落花生の生産から、農業のマネジメント、さらにはシェフが魅了する農園の栽培にいたるまでの農業におけるイノベーターたちを紹介している。もちろん簡単に革命を起こすことができたわけではない。3人紹介されているが、三者三様の失敗や苦労があった。特に最も大きいものとしては旧態依然としている勢力との戦いであった。

第二章「生産・流通のシフトチェンジ」
農業の周囲も「革命」があった。それは流通や生産といった所である。工場プラントによって野菜をつくる、あるいは生産者の視点に立った流通の革命、さらには休耕田の利用に至るまでの所を取り上げている。

第三章「常識を超えるスーパー技術」
技術は時として私たちの想像を遥かに超えるようなものを提供することもある。本章では、特に「スマート農業」と呼ばれる分野において、IoTを駆使して、農業をどのようにして役立てるか、そして新たなブランド作りや農業における「肥料作り」なども取り上げている。

「ピンチはチャンス」と言う言葉がある。これは衰退している農業も同じ事が言える。もっとも農業が衰退した理由としては農業における需要が少なくなったことも一因であるのだが、新しい技術や概念を排斥し、旧態依然のまま続けられると言った人々の認識がずっと続いてしまい、新しい技術を取り入れようとしなかったことも一因として挙げられる。長らくずっと取り入れられていなかった技術がようやく取り入れ始めることにより、もっと新しく、なおかつ効率よく、農業を行うことができるようになる。その技術が取り入れだした今、農業は新しい時代を迎えた。